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更新日:2017年11月16日

せんだん通信-中国四国厚生局だより平成26年2月号(平成26年2月5日発行)

【目次】

広島湾の写真
 

元宇品から望む広島湾

 

巻頭言:~ たゆたえど沈まず ~

局長伊奈川秀和

「たゆたえど沈ます(Fluctuat nec mergitur)」
これは、先々月、ある施設の記念式典の挨拶の際に、私が予定外に引用した言葉である。というのも、私の前に挨拶された方が、リーダーが備えるべき精神として「キャプテンラスト」という言葉を引用されたことで、思い出したことによる。
海上保安部巡視艇の写真いずれも船に関係する言葉であり、私のような海なし県の出身者にとっては、ここ広島のように目の前に海があり、世界につながっていることは、何とも感慨深い。今でも時々思い出すのは、保育園時代に童謡「海」を歌うのだが、「海は広いな、大きいなー」といっても、当時誰も海など見たことがない。しょっぱいとは聞いているが、なめたこともない。ついでに言うと、「みかんの花咲く丘」もそうで、リンゴは身近でも、ミカンがなっているのも、そこを船が通るのも実感がわかないのである。
その点では、広島や中国地方には、海も、みかんも、船も当たり前のようにある。この文明の進んだ21世紀でも、人間にとって生活環境や自然環境は重要であり、その相当部分は個人が変えられるような代物でもない。確かに、移動の自由は基本的人権ではあるが、人にとって住み慣れた環境で生活することの方が重要である。
最近、医療や介護では、「地域包括ケア」が重視されるようになっている。この言葉は、公立みつぎ総合病院の名誉院長・顧問の山口昇先生が以前から提唱され、今や社会保障制度改革国民会議の報告書(平成25年8月)にも記述されるようになっている。社会保障改革の別の柱である子ども・子育て支援も、都市部の待機児童対策だけではなく、中山間地や離島も含め、地域で子育てができる環境を確保していこうという視点が入っている。やはり、人が住み慣れた地域で子育てをしながら働き、医療や介護等の福祉を通じて支え合うことは、今後の人口減少社会を乗り越えていく上でも重要である。
実は、冒頭の「たゆたえど沈まず」は、パリ市の紋章に刻まれた標語である。歴史の荒波を乗り越え繁栄を続ける市を船にたとえているのである。翻ってみると、ここ中国地方は、神代の昔からの伝統文化・芸能があり、自然や食文化も豊かである。そして、ここまで歴史の動乱を乗り越えてきた自治体も多い。
フランスついでに言うと、人口が日本の約半分(面積は1.5倍だが)の国で県が101、市町村が3.7万弱も存在する。市町村は同郷意識に支えられたコミュニティを核に構築されており、フランス革命以来数はほとんど変わっていない。県は馬車で1日のうちに行き来できる地理的範囲を基本に人為的に区画されている。そのような目で見ると、医療、福祉等の様々な場面で、近年は市町村や都道府県の計画や圏域の考え方が登場するが、これらは持続可能な地域作りという点での重要性があることになる。また、そのことが地域社会で生活するという理念にも合致することになる。
社会保障を船にたとえるなら、今後の航海は、これまで以上に波が高いであろう。如何に社会保障を取り巻く荒波を乗り切るのか、新年に当たり、我々の乗る船が宝船のように豊穣を運ぶ船であることを願ってやまない。

各課からのメッセージ:医事課の業務について

医事課田中宏幸

せんだん通信をご覧の皆さま、はじめまして。私は医事課の田中と申します。

私は、昨年の4月に医事課に配属となりました。私自身、医事課という課名からだけでは、どんな業務や役割を担っているのか、正直よくわかりませんでした。そこで今回は、医事課の業務全般について紹介させていただきたいと思います。

1.医師の臨床研修に関する業務
平成16年4月以降に医師免許を取得し、診療に従事しようとする医師は2年以上の臨床研修を受けることが医師法により義務づけられています。研修は大学病院若しくは厚生労働大臣が指定した臨床研修病院・施設で実施されます。医事課では、各病院が作成する研修プログラムに基づき効果的な研修が実施されるよう、研修プログラムの内容、設備及び人員等について関係法令の定める基準に照らして審査するとともに、医師臨床研修に関する補助金の交付手続きを行っています。

2.医療安全に関する業務
国民が安心して医療を受けることができるよう、医療機関や医療従事者は、提供する医療の質と安全性の向上を図ることが求められています。医事課では、医療安全管理体制の強化の推進及び医療従事者の資質向上のため、管内病院の管理者、医療安全担当者等を対象に、年1回「医療安全に関するワークショップ・セミナー」を開催しています。
医療安全ワークショップ及びセミナーの様子
 

平成25年度医療安全ワークショップ
・セミナーの様子

今年度の医療安全ワークショップ・セミナーについては、「せんだん通信 平成26年1月号」、「中国四国厚生局ホームページ フォトレポート」をご覧ください。

3.医療観察法に関する業務
「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)では、心神喪失の状態で重大な他害行為(他人に害を及ぼす行為)を行った者に対し継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その症状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、その社会復帰を促進することが定められています。医事課では、対象者の医療を行う指定医療機関の指定、地方裁判所の処遇決定に伴う指定医療機関の選定、入院処遇決定となった対象者の指定入院医療機関への移送(送り届けること)を行っています。

4.医師又は歯科医師の行政処分に関する業務
医療従事者の資質を向上し、国民の医療に対する安心を確保するため、行政処分を受けた医師又は歯科医師に対して再教育を実施しています。医事課では、行政処分によって医業(歯科医業)停止1~3年の処分となった者に対する再教育研修(個別研修)に係る業務として、研修における事前調整から終了までの進捗状況の把握・助言指導者の指名・個別研修計画書の受理・研修修了報告書の受理などを行っています。

5.医薬品等の許認可業務
医薬品等を業として製造しようとする者は、薬事法に基づく医薬品等の製造業の許可及び定められた期間ごとに更新を受けなければなりません。医事課では、「厚生労働大臣が指定する医薬品及び医療機器」を製造する場合の製造業許可に関する申請及び変更等届出の審査等を行っています。

6.毒物及び劇物の製造業及び輸入業の登録業務
「毒物及び劇物取締法」において定められた毒物及び劇物を業として製造、輸入又は販売を行う者は、それぞれ製造業、輸入業又は販売業の登録及び定められた期間ごとに更新を受けなければなりません。医事課では、製造業及び輸入業の登録に関する申請及び変更等届出の審査等を行っています。

このように、課名からだけでは想像がつかない業務の多い医事課ですが、皆さまへ、より安全で質の高い医療サービスを提供できる医療体制を確立するため、一生懸命取り組んでまいります。

各課からのメッセージ:保険医療機関等に関するQ&A~第4回~

山口事務所多田

平成25年8月号の鳥取事務所、10月号の島根事務所、12月号の岡山事務所に引き続き、保険医療機関等に関するQ&Aシリーズの締めとして、各県事務所へご照会いただいた中から、今月はニコチン依存症患者の方に係る保険診療である「ニコチン依存症管理料」と、患者さまの事情により往診を求める場合の「往診料」についてご紹介させていただきます。

Q1 タバコを吸っていますが、健康被害も気になるのでやめたいと思っています。近くの診療所で保険による禁煙治療を受けることはできますか。


A1
平成18年度診療報酬改定により、一定の条件を満たせば、保険診療として禁煙治療を受けることができます。
保険診療の対象となる方は次の3項目全ての条件を満たした方です。
1.日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会及び日本呼吸器学会により作成された「禁煙治療のための標準手順書」に記載されているスクリーニングテスト(TDS:10項目の質問検査)によりニコチン依存症であると診断された方
2.一日の喫煙本数に喫煙年数を乗じて得た数が200本以上ある方
3.直ちに禁煙することを希望されており、なおかつ「禁煙治療のための標準手順書」に則った禁煙治療について説明を受け、当該治療を受けることについて文書により同意した方
なお、未成年者については、保険診療による禁煙治療を受けることはできません。
診療については、12週間に渡り、初診を含めて計5回の禁煙治療を受けることになりますが、例えば、その間に転勤等により患者さまの都合で初診の医療機関に通院できなくなった場合は、他の医療機関で継続して禁煙治療を受けることも可能です。
保険診療による禁煙治療を行う医療機関は、管轄する地方厚生局(各県事務所)に「ニコチン依存症管理料」の届出をするとともに、院内の見やすい場所に禁煙を行っている旨(例えば「保険適用による禁煙治療を行っています」などの表示)を掲示することになっています。実際には、直接医療機関に尋ねていただければ確実です。
ちなみに、「ニコチン依存症管理料」が届出されている保険医療機関数は、平成26年1月1日現在で以下のとおりとなっています。

件名

「ニコチン依存症管理料」

届出保険医療機関数

(医科)保険医療機関数

鳥取県

85機関

486機関

島根県

92機関

655機関

岡山県

253機関

1538機関

広島県

508機関

2572機関

山口県

174機関

1239機関

 

Q2 いつも通院している診療所に往診をお願いしたら、半径16キロを超えているため、止むを得ない場合でなければ往診に行くことはできないと言われました。そのような決まりがあるのでしょうか。また、止むを得ない場合とはどのような場合なのでしょうか。


A2
往診とは、患者さまやご家族の方の求めに応じて、患者さまの家(患家)に赴き診療を行うことを言います。ただし、往診に係る保険診療のルールとして、保険医療機関と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える場合、往診を必要とするやむを得ない理由がなければ、往診料は保険診療として算定できないため、患者の負担とされます。
上記の「患家との距離が16キロメートルを超える場合」とは、往診を受ける保険医療機関から半径16キロメートル圏域の外側に患家がある場合を言います。
また、「やむを得ない理由」としては、例えば次のような場合が考えられます。
1.患家の所在地から半径16キロメートル以内に、患者さまの求める診療に専門的に対応できる保険医療機関が存在しない場合
2.患者の求める診察に専門的に対応できる保険医療機関が存在していてもその保険医療機関が往診を行っていない場合
なお、往診料が認められる場合でも、保険医療機関が往診に要した交通費の実費については、患者さまの負担とされています。(自転車やスクーターは交通費に該当しません。ただし、自家用車使用による燃料代は交通費に含まれます。)
参考までに、在宅で療養を行っている患者さまであって、疾病や傷病のために通院が困難な方に対して、保険医療機関が患家を定期的に訪問して行う診療は、「在宅患者訪問診療」と呼ばれ、「往診」とは異なるものです。

保険医療機関等に関するQ&Aについては、4回に渡って掲載しましたが、少しでも皆さまのお役に立てたのであれば幸いです。

あとがき

毎日、寒い日が続いておりますが、皆さまはいかがお過ごしでしょうか。これからいよいよ本格的な受験シーズンの到来です。受験される方は、体調を整え、試験に臨み、持てる力を遺憾なき発揮してください。また、ご家族の方にとっても、大変な時期と思いますので、特に健康面には十分注意していただきたいと思います。という私も、受験生を抱える親であり、何かと心配な毎日ですが、子供を信じて見守っていきたいと思っています。(H.O) すいせんの花の写真

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