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更新日:2013年3月18日

食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項について

(平成16年3月25日)
(/食安基発第0325001号/食安監発第0325001号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長・監視安全課長通知)
健康増進法施行規則の一部を改正する省令(平成16年厚生労働省令第37号)の一部改正に伴い、本日、「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)について」(平成15年8月29日付け薬食発第0829007号厚生労働省医薬食品局長通知)の一部を改正したところである。
これに伴い、「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項について」(平成15年8月29日付け食安基発第0829001号及び食安監発第0829005号厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長及び監視安全課長連名通知、以下「ガイドライン留意事項」という。)についても、別添のとおり、所要の改正(傍線の部分は改正部分)を行うので、同指針の運用に当たっては、下記の要点等についてよろしく御留意いただけるようお願いする。
第一 ガイドライン留意事項の一部改正の要点
1 効果的に監視指導を行うに当たって必要な事例の蓄積を着実に実施する観点から各都道府県等にお願いしている、ガイドライン留意事項別紙の様式の送付先について、「対策室」を「域内厚生局」に改めること。
2 その他所要の改正を行うこと。
第二 施行日
この改正は、平成16年4月1日から施行する。

 

(別添)
食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)に係る留意事項
第1 健康増進法第32条の2の規制の適用を受ける対象者の範囲
「食品として販売に供する物に関して行う健康保持増進効果等に関する虚偽誇大広告等の禁止及び広告等適正化のための監視指導等に関する指針(ガイドライン)」(以下「指針」という。)の第2の1において、健康増進法(平成14年法律第103号。以下「法」という。)第32条の2の規制の適用を受ける対象者を示しているところであるが、具体的には、次により判断することとする。
1 広告依頼者の第一義的責任
広告の掲載を依頼し、販売促進その他の利益を享受することとなる当該食品製造業者又は販売業者(以下「広告依頼者」という。)が、法第32条の2の規制の適用の対象者となるのは当然である。
2 同条と広告媒体との関係
これに対し、広告依頼者から依頼を受けて、当該「広告その他の表示」を掲載する新聞、雑誌、テレビ、出版等の業務に携わる者は、依頼を受けて広告依頼者の責任により作成された「広告その他の表示」を掲載、放送等することから、直ちに同条の適用の対象者となるものではない。
しかしながら、当該「広告その他の表示」の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合においては、広告依頼者とともに同条の適用があり得る。
第2 広告等の範囲
1 広告等に該当するものの具体例
指針の第2の2の(2)において「広告その他の表示」の定義を示しているところであるが、具体例としては、次に掲げるものが挙げられる。
ア 商品、容器又は包装による広告等及びこれらに添付した物による広告等
イ 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告等(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)
ウ ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオンサイン、アドバルーンその他これらに類似する物による広告等及び陳列物による広告等
エ 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備による放送を含む。)、映写又は電光による広告等
オ 情報処理の用に供する機器による広告等(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)
2 実質的に広告と判断されるもの
広告等の範囲については、指針の第2の2の(2)に示しているところであるが、次に掲げる①~③に該当すると消費者が認識できるものを、広告等に該当するものとして判断されたい。
① 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確にあること。
② 特定食品の商品名等が明らかにされていること。
③ 一般人が認知できる状態であること。
現行の薬事法等における広告規制に係る現状をみると、広告等規制の対象となることを逃れるため、一部には、遺憾ながら上記①~③に該当することを回避した表示を行っている者があることが認められる。しかしながら、例えば、
ア 「これは広告ではありません。」や「これは顧客を誘引することを目的としているものではありません。」、「特定商品名や商品金額の掲載はありません」、「表示しているのは物質名であって、商品名に該当しないため法に抵触しません。」といった表示をしているが、具体的な商品名及び期待される効果等を一般消費者が容易に認知できる形で記載されている
イ 商品の名称の一部を伏せ字としたり、文字をぼかす、写真や画像イメージのみを表示するなどの場合であっても、当該商品の認知度、付随している写真及び説明書き等から特定食品であることが認知できる
ウ 特定の食品又は成分の健康保持増進効果等に関する書籍や冊子、ホームページ等の形態をとっているが、その説明の付近に当該食品の販売業者の連絡先やホームページへのリンクを一般消費者が容易に認知できる形で記載している場合には、実質的に上記の①~③を満たすものとして、広告等に該当するものとして取り扱うこととする。
また、例えば、特定の食品又は成分の健康保持増進効果等に関する書籍等に「当該食品に関するお問い合わせは、○○相談室へ」等と記載されている上記ウの事例に関して、連絡先に掲げられた「○○相談室」が当該食品を直接販売等していない場合、「当該書籍は顧客を誘引する意図を持たない純然たる書籍である」、「改善症例や研究内容等について、具体的商品販売を伴わない記事や文献、書籍、研究資料の紹介は法律違反でない。」等として、広告等規制の対象となることを回避しようとするものがある。
この場合にあっても、「表現の自由」は最大限尊重されるべきであるが、その「○○相談室」が特定の販売業者をあっせん等していることが認められる場合等であって、当該販売業者が別の個人又は団体を介在させることにより、広告等規制の対象となることを回避しながら当該書籍等を広告等として活用していると判断できるなど、実質的に上記の①~③に該当する場合には、当該書籍等を広告等として取り扱う。
さらに、記事や学術論文等の形態をとっているウの事例に関して、「あくまで『一般的な知識』を消費者に提供している。」、「『色々な食品又は成分の効能を知りたい』、『症状に適した食品又は成分が何かを知りたい』という消費者の知的好奇心に応えているのみであり、広告でない。」等の名目で、書籍、冊子、ホームページに特定の食品又は成分に係る学術的解説を掲載する場合であっても、その解説の付近から特定食品の販売ページに容易にアクセスが可能である場合や、販売業者の連絡先が掲載されている等、実質的に上記の①~③に該当する場合には、営利的言論としての広告等に該当するものとして、規制対象となる場合があり得る。
第3 健康保持増進効果等の表示に該当するものの例
指針の第2の2の(3)に掲げる健康保持増進効果等の表示に該当するものの具体例は次のとおりである。なお、指針においても示したところであるが、法第32条の2は、健康保持増進効果等に関する広告等について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない旨を定めているものであり、第2の広告等の範囲に該当するものが次の効果等の表示に関し、第4で判断基準を示したような「事実に著しく相違する」又は「著しく人を誤認させる」場合に、規制されることとなるものである。
1 健康の保持増進の効果
(1) 疾病の治療又は予防を目的とする効果
(例) 「糖尿病、高血圧、動脈硬化の人に」、「末期ガンが治る」、「虫歯にならない」、「肥満の解消」、「SARSを予防する」等
(2) 身体の組織機能の増強、増進を主たる目的とする効果
(例) 「疲労回復」、「強精(強性)強壮」、「体力増強」、「食欲増進」、「老化防止」、「免疫機能の向上」等
(3) 特定の保健の用途に適する旨の効果
(例) 「本品はおなかの調子を整えます」、「この製品は血圧が高めの方に適する」等
(4) 栄養成分の効果
(例) 「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です」等
2 厚生労働省令で定める事項
(1) 含有する食品又は成分の量
(例) 「大豆が○○g含まれている」、「カルシウム○○mg配合」等
(2) 特定の食品又は成分を含有する旨
(例) 「プロポリス含有」、「○○抽出エキスを使用しています」等
(3) 熱量
(例) 「カロリーオフ」、「エネルギー0kcal」等
(4) 人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つことに資する効果
(例) 「皮膚にうるおいを与えます」、「美しい理想の体形に」等
3 間接的に健康保持増進効果等を表示する場合
(1) 名称又はキャッチフレーズにより表示するもの
(例) 「スーパーダイエット○○(製品名)」、「○○○(製品名)。ダイエット成功者が続々」、「ガン、糖尿病、肝硬変。○○○(製品名)」等
(2) 含有成分の表示及び説明により表示するもの
(例) 「ダイエットの効果で知られる○○○○を××mg配合」等
(3) 起源、由来等の説明により表示するもの
(例) 「○○○という古い自然科学書をみると×××は肥満を防止し、消化を助けるとある。こうした経験が昔から伝えられたが故に食膳に必ず備えられたものである。」等
(4) 新聞、雑誌等の記事、医師、学者等の談話、学説、経験談などを引用又は掲載することにより表示するもの
(例) ○○ ○○(××県、△△歳)
「×××を3ヶ月間毎朝続けて食べたら、9kgやせました。」等
(5) 医療・薬事・栄養等、国民の健康の増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等により、効果等に関して認められている旨を表示するもの
(例) 「××国政府認可○○食品」、「○○研究所推薦○○食品」等
第4 法第32条の2該当性の判断基準の明確化
個々の広告等が実際に法第32条の2の規定の違反に該当するものであるかどうかの判断基準については、指針の第2の3に示しているところである。
しかしながら、健康保持増進効果等についての広告等は、その効果の真偽が最新の科学的知見に照らして必ずしも明らかでない場合が多いため、何が「事実に著しく相違する」又は「著しく人を誤認させる」表示であるかが、全ての場合において明確となるとは限らない。そこで、その判断基準をより明確化するため、具体的に想定される事例を基に基準適用の考え方を示すこととする。
なお、厚生労働省又は地方厚生局長が勧告・指導を行った事例等については、その情報を蓄積した上で、今後各地方公共団体に情報提供を積極的に行っていくこととしている。将来的には、こうした積み上げられた事例をもって各地方公共団体が指導できるよう、便宜を図ることとしたいが、当面以下に記す基準適用の考え方をもって指導に当たられるようよろしくお願いしたい。
1 事実に相違すること又は人を誤認させることが明らかであると判断できる表示
以下に例示するように、表示内容のみで、明らかに事実と相違する又は人を誤認させると判断できるものについては、速やかに広告等の取下げ、内容の修正等の必要な指導を行われるとともに、指導の結果等を当該都道府県等の区域を管轄する地方厚生局(以下「域内厚生局」という。)あてに報告していただくようお願いする。
(例)
○ 医療・薬事・健康増進等、国民の健康増進に関連する事務を所掌する行政機関(外国政府機関を含む。)や研究機関等による認証、推薦等(以下「認証等」という。)を取得していることを表示していても、当該認証等の制度が実在しない場合や当該認証等の制度の趣旨とは異なる趣旨により表示することにより、健康保持増進効果等が認証等を受けたものと誤認させる場合
表示例
考え方
厚生労働省から輸入許可を受けたダイエット用健康食品です。
食品の輸入に当たって、厚生労働省が個別の許可を行う制度は設けられていないが、こうした表示をすることにより、厚生労働省が当該健康食品の効果を個別に認証していると認識されて、健康の保持増進の効果があることが確認されていると誤認される。
厚生省告示第120号にて記載告示された○○を使用しており、健康をお考えの方にオススメいたします。
食品関係の告示で「厚生省告示第120号」に該当するものは、既存添加物名簿(平成8年厚生省告示第120号)であるが、既存添加物は、平成7年食品衛生法改正以後も引き続き使用できる天然添加物の名称を記載したものであって、健康保持増進効果等とは関係ない。しかしながら、広告等の全体の記載からみて厚生省(現厚生労働省)の所管する法令・通知等に当該栄養成分等の記載があることが、「健康をお考えの方にオススメ」する理由として表示されている等の場合、一般消費者が厚生労働省が所管する個別制度や法令・通知の内容をすべて正確に理解していると言えないことから、国民の健康増進に関連する事務を所掌する厚生労働省が当該法令・通知により健康保持増進効果がある旨を認証等したものであると誤認される。
○○検査センター認可食品。
もし痩せなかったら、お金はいっさい頂きません。
※ ○○検査センターで行われた検査は、健康保持増進効果等に係るものでなく、専ら食品の安全性に係るものであった。
民間機関である○○検査センターが行った検査は、あくまで安全性に係るものであり、健康保持増進効果等を実証するものではない。にもかかわらず、「○○検査センターが認可した食品であること」と「もし痩せなかったら、お金はいっさい頂きません。」を同一文脈で表示している点で、○○検査センターが健康保持増進効果等について認証等したものであると誤認される。
また、一般に「認可」とは、ある人の法律上の行為が公の行政機関の同意を得なければ有効に成立することができない場合に、その効力を完成させるため、公の機関の与える同意をいう。○○検査センターは民間機関であり、行政行為である「認可」を行い得ない。にもかかわらず、公の機関のみが行い得る「認可」という行為を表示することにより、健康保持増進効果等について公の機関の認証等を受けたものと誤認される。
※ 本来「厚生労働省許可」と表示すべき特定保健用食品について、「厚生労働省認可」等と誤って広告等する例が見受けられる。「許可」と「認可」は法律上禁止されている特定の行為について、実施することを許容する公の機関の行為である点で共通であり、誤表示があったとしても著しい問題が生じるものでないが、責務に照らし、誤りのない「客観的で正確な情報」の伝達に努めること。
○ 一般消費者向けの広告等において、医師又は歯科医師の診断、治療等によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患について、医師又は歯科医師の診断、治療等によることなく治癒できるかのような表現を用いている場合
表示例
考え方
医者に行かずともガンが治る!
通常、がんのような重篤な疾病は、医師による診断及び治療が必要となるが、こうした表示は、医師による診断治療がなくとも、当該疾病を治癒することができると誤認を与えるため、誇大表示に該当する。
※ 「医師又は歯科医師の診断若しくは治療によらなければ一般的に治癒が期待できない疾患」…ガン、糖尿病、高脂血症、心臓病、肝炎、齲歯など、通常医師又は歯科医師の診療を受けなければ保健衛生上重大な結果を招くおそれのある疾病
○ 最上級又はこれに類する表現を用いている場合
表示例
考え方
最高のダイエット食品
通常、健康の保持増進の効果は、個々人の健康状態や生活習慣等多くの要因により異なっており、現存する製品の中で最高の効果を発揮することは立証できないため、最上級の表現を用いる広告等は虚偽表示に該当する。
※ 最上級の表現…「最高」、「絶対」、「最高級」、「日本一」、「抜群」、「無類」等がこれに当たる。製造方法等についても、実際の製造方法等と著しく異なる表現又はその優秀性について著しく誤認させる表現はこれに含まれる。
○ 断定的な表現にはよらずに、伝聞、他者の表現等を通じて健康の保持増進の効果等がある可能性を表示している場合
表示例
考え方
○○に効くと言われています。
「××は、○○にいいと言われています。」等と伝聞調により表示し、世間の噂・評判・伝承・口コミ・学説等があること等をもって、健康の保持増進の効果がある旨を強調し、又は暗示するものについても、例えば、○○の内容が医師又は歯科医師の診断、治療等によらなければ一般的に治癒できない疾患に係るものである場合には、当該食品によって当該疾病を治癒することができると誤認を与えることとなるため、誇大表示に該当する。
また、「言われています」という表現を用いるにより「誰が言っているのか」等を敢えて明示せず、曖昧な表現により反証の余地を最小化したとしても、○○の内容が社会通念に照らして事実と認め得ない場合には虚偽表示に該当する。
※ 学会発表等の学術データを引用するものであっても、その発表の内容が適切な方法により実証されていない等の理由により科学的根拠として採り得ないものである場合は、その信憑性を首肯し得ず、虚偽表示に該当し得ることに留意すべきである。
「この食品『○○』に含まれる成分『××』は『△△テレビ』で紹介されました!」と店頭表示するとともに、当該放送内容を引用している。
※ 当該放送では、「この成分『××』を毎日摂取し続ければ、□□(疾病名)にならない!細胞の老化を食い止めるのではなく、抵抗力を強めて『若返らせる』。これはイイですよ!」と健康保持増進を求める者に影響力を持つ司会者がコメント。しかし、当該栄養成分の真実の効果と比べると、そのコメントは著しく誇大な内容であった。
①販売者は、顧客の購入意欲を昂進させる意図で当該放送内容を店頭で引用しており、②店頭において特定食品の商品名等を明らかにしており、③一般人が認知できる状態である。このことから、第2の2の①~③の基準に照らし、「『△△テレビ』に紹介された」旨の販売者による店頭表示と、引用されている当該放送内容を併せて、販売者による一つの広告等であると判断する。
△△テレビにおける司会者は、あくまで特定の成分につき言及したものである。当該発言は特定商品の広告等には当たらず、「表現の自由」の範疇内として、当然規制対象とはならない。しかしながら、食品の販売者は当該栄養成分の真実の効果と比べ著しく誇大なコメントを当該食品の広告等として引用した点で、誇大表示に該当することが懸念される。
食品として販売に供する物に関して広告等をする者は、摂取する者が当該物を適切に理解し、適正に利用することができるよう、客観的で正確な情報の伝達に努めなければならず、他者による表現の信憑性を疑わず、無条件に広告等に引用することは控えるべきである。
2 効果等の証拠等の確認により、事実に相違する又は人を誤認させる表示と確認できる場合
表示内容を一見しただけでは健康保持増進効果等に関して事実と相違する又は人を誤認させる表示に該当するかどうか判別できない広告等についても、必要に応じ、法第32条の3第3項の規定に基づく立入検査及び食品の収去等を行い、表示内容の証拠又は根拠等を確認した上で、事実に相違する又は人を誤認させる表示であると判断された場合は、広告等の取下げ、内容の修正等の必要な指導を行われるとともに、指導の結果等を域内厚生局あてに報告していただくようよろしくお願いしたい。
(例)
○ 広告等する健康保持増進効果等の強調ぶりと、証拠となる事実が適切に対応していない場合
表示例
考え方
食(前)後○○時間後を目安に摂取すると、食べた栄養素の約××%をブロックします。(人によって適切な使い方は異なります。)
※ 『約××%』『ブロックする』の根拠となったデータは動物、ヒトのいずれの試験結果でもない。
摂取した栄養素の人体における吸収過程は複雑な作用が絡み合っており、当該食品又は成分のみが健康保持増進効果等を得られた原因であるか否かは、他の様々な影響要因を考慮する等、慎重に考慮されるべきものである。
こうしたことから、食べた栄養素の消化作用に与える効果を確定的又は断定的に言及するためには、実際に経口的に摂取した結果データに基づいて表示すべきものであり、こうしたデータに基づかず、経口的に摂取した場合の健康保持増進効果等について確定的又は断定的に言及する場合は、左記表示例の表現は虚偽表示の該当性が懸念されるところである。
なお、「実験は身体内の場合と作用機序が異なる場合がある」等の注記を付したとしても、その注記とは別途ヒトの体内における作用を確定的又は断定的に表現する限り、同様の判断をすることになる。
動物実験データについても、ヒトに応用する場合の根拠の一つとはなるが、絶対的なものでなく、ヒトへの健康保持増進効果等の証明は必ずしも動物実験のみによって結論が得られるものでないことにも留意する必要がある。
※ 「食前」「食後」等、通常の食品の摂取時期等とは考えられない表現を用いるとともに、栄養素の吸収を阻害することを通じ、人の体内における栄養素の消化吸収作用に影響を与えることを目的としていることから、「人の身体の機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」(薬事法第2条第1項第3号)として、薬事法上の取締りの対象となり得る。
○○センターの研究者は、“××”(一般に知名度がある食品)について「健康保持増進効果等があることが学会で発表されています!
※ 実際に学会で発表したのは××の中でも“××-△△”という特別のものに限られており、それ以外のものについて健康保持増進効果等は発表されていない。
根拠等が存在しないにもかかわらず、健康保持増進効果等が裏付けられているかのように表示することは虚偽表示に該当するものであるが、研究者等の学会発表の対象となっていないにも関わらず、類似名称を持つ食品について健康保持増進効果等が発表された旨混同させて、広告等を行う場合、自然科学に係る学会の情報や食品分類学に関する知識を一般に持たない通常の消費者にとって、健康の保持増進の効果等を誤認させる誇大表示に該当することが懸念される。
健康保持増進効果等について広告等をする際には、その根拠となるデータについて適確に把握し、正確な表現に心がける必要がある。
[驚異の食効『○○』!]
◎ ××病
全身の倦怠感や吐き気に苦しんでいた私は、仕事も休みがちになり、このままではいけないと検査してみたら、思いもよらず重い××病とわかりました。病院では早速△△療法がはじまり、まもなく副作用で食欲不振、発疹が続き、イヤな日々を送っていたところ、友人が「××病に効く」と言って、この商品『○○』を紹介してくれました。
これならば手軽にできるかと半信半疑で始めたところ、4ヶ月を過ぎたころに効果が現れ、××病の病巣がびっくりするほど小さくなり、快適な毎日に戻りました。
病院の先生からも不思議がられる程の回復ぶり。こんなに早く救ってくれた『○○』には感謝してもしつくせない気持ちです。
~県 ○×△子(?歳)
健康保持増進効果等に関する裏付けとして、学術的な根拠等を一切示さず、体験談や「感謝の手紙」、タレント等著名人の推薦等(以下「体験談等」という。)のみによるものが少なからず認められる。これについて、
・ 体験談等そのものが存在しないとき
・ 体験者、推薦者等が存在しないとき
・ 健康保持増進効果等について、不都合な箇所を掲載せず、自己にとって好都合な箇所のみを抜粋して掲載しているとき(例 ダイエット食品に関し、運動しながら当該食品を摂取していた旨の体験談について、運動に係る箇所を掲載しないもの)
等については、虚偽表示又は誇大表示に該当する場合があるものと考えられる。
※ 体験談中、「××病」と疾病名を明示していること、友人の「××病に効く」旨の発言、病巣が小さくなった旨の記述において、食品『○○』の医薬品的効能効果を標ぼうしていると認められることから、薬事法の取締り対象となり得る。
○ 他制度に基づく認証、推薦、特許等が表示されているが、その認証等が健康保持増進効果等に係るものではない場合
表示例
考え方
ダイエットに効く○○茶(特許番号××号)
健康保持増進効果等に関する広告等上に特許番号を表示(特許申請中等を含む)している場合には、通常、当該特許が当該健康保持増進効果等に関係し、又はその健康保持増進効果等が認められたものであると認識することとなる。当該特許が当該健康保持増進効果等と明らかに関係しない場合や、認められた特許表示の内容に相当する健康保持増進効果等が発現しないと認められる場合は、虚偽表示又は誇大表示に該当することが懸念される。
※ 当該物品の販売に当たり医薬品的効能効果をうたう場合は、その標ぼうが特許表示の範囲内であったとしても薬事法上の取締りの対象となることに留意する必要がある。
○ 「好転反応」に関する表現により、健康保持増進効果等を表示している場合
表示例
考え方
○○を食べると、3日目位に湿疹が見られる場合がありますが、これは体内の古い毒素などが分解され、一時的に現れるものです。
これは体質改善の効果の現れです!そのまま召し上がり続けてください。
湿疹、便秘等の不快症状が出ても、それを「好転反応」等と称して効果の証と説明しているものがある。
体質改善やダイエット等の効果につき、強い効果や即効性等を求める国民の中には、こうした「好転反応」等の不快症状が出ることをもって、当該食品には強い効果や即効性等があることを認識する者があることは、残念ながら否定できない。こうした「好転反応」等の表示をもって健康の保持増進効果を表示する場合であっても、例示における「体質改善の効果」が認められない場合は虚偽表示又は誇大表示に該当することが懸念される。
※ 「好転反応」に関する表示は、医薬品的な効能効果の標ぼうに該当するものであり、薬事法上の取締りの対象となる。そもそも、このような表現は、適切な診療機会を失わせる等の保健衛生上の危害が発生するおそれが強く、断じて認め得ないものである。
3 有用成分等の分析等により事実に相違又は人を誤認させる表示であることが確認できる場合
仮に当該食品に含まれていると表示されている有用な成分が実際に効果があるものであっても、当該有用な成分が実際には十分には含まれておらず、効果が得られない場合があり得る。このため、健康保持増進効果等に関して虚偽又は誇大が疑われる場合は、必要に応じ収去を行い、任意に有用成分を分析するか、域内厚生局あて通報されたい。
また、含有する食品又は成分の量、特定の食品又は成分を含有する旨及び熱量についても、健康増進法施行規則第18条の規定により、健康保持増進効果等に含まれるので、必要に応じ、同様の対応をとられたい。
第5 いわゆる健康食品に対する広告等監視の手順及び監視体制の整備
1 広告等監視の手順
第4に示したとおり、健康保持増進効果等についての広告等は、何が「事実に著しく相違する」又は「著しく人を誤認させる」表示であるかが、全ての場合において明確となるとは限らず、実効性ある監視を行うのは容易ではない。このため、違法性が疑われる広告等に対する実際の監視に当たっては、
(1) まず、貴職において法第32条の2の規定に違反していると判断できる広告等については、広告等を行う者に対して必要な指導等を行っていただくとともに、当該広告等に関して別紙の様式により域内厚生局あてに報告していただく
(2) 貴職において法第32条の2の規定に違反しているかどうか判別できない広告等については、法第32条の2の規定に違反して表示をした者の本店又は主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局において法第32条の3第1項の規定に基づく勧告の必要性を検討するため、別紙の様式により速やかに域内厚生局あてに報告していただく
という手順を採るようお願いしたい。特に、特定保健用食品が許可表示を逸脱し、その健康保持増進効果等について著しく虚偽又は誇大な広告等を行っていることが疑われる場合にあっては、原則として、保健機能の効果に係る審査を実施する厚生労働省において指導・勧告の必要性を検討することから、同様に別紙の様式により速やかに域内厚生局あてに報告されたい。域内厚生局がとりまとめ、厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室に送致するものとする。
また、効果的に監視指導を行うに当たって必要な事例の蓄積を着実に実施する観点から、貴職において法第32条の2違反を指導した事例については、別紙の様式により、広告等及び入手した広告等の内容の根拠に関する資料等を添えて、3か月に一度、定期的に域内厚生局あてに報告されるようよろしくお願いしたい。
法第32条の2の規定に違反していると判断できる広告等について、広告等を行う者(法人の場合は、主たる事務所)が貴管下の地域にない場合については、必要があると認める場合は立入検査等必要な調査を行った上で、別紙の様式により、広告等及び入手できた広告等の内容の根拠に関する資料等を添えて、広告等を行う者が存在する地域を所轄する地方公共団体及び域内厚生局あてに速やかに報告されるようよろしくお願いしたい。
2 広告等監視体制の整備
健康保持増進効果等についての虚偽誇大広告等の監視体制整備については、指針の第4において示しているところであるが、いわゆる健康食品の広告等の適正化を推し進めるためには、法のみならず、薬事法を含めた関係法令の一元的な運用が不可欠である。都道府県、保健所を設置する市及び特別区の衛生主管部局長並びに各保健所長等が「健康増進」、「食品衛生」及び「薬事」の3分野の緊密な連携を確保することにより、施策を総合的に推進する任務を担うことに留意されたい。特に健康食品の広告等の適正化については、法第6章の規定を主管する課室(以下「法主管課室」という。)が、薬事法主管課室と連携しながら効果的な取組を行うことが期待される。
基本的に広告等の監視体制の整備は、各地方公共団体においてその実情を踏まえつつ柔軟に行うべきものであるが、総合的な対策を実現するために、以下の取組を行うことが望ましい。
(1) 都道府県等衛生部局長及び保健所長等の取組
ア 上記関係3分野の担当部局間での連絡を深めることで違反事例等に係る情報の共有を進めるとともに、所管する法令についての違法性の有無についてのすり合わせを行うこと。
イ 法に加え、薬事法を含む関係法令や監視実務について、関係職員の研修を実施すること。
ウ 監視指導に当たっての実施方針を明確にすること。
当該対処方針では、法主管課室が重点的に監視指導すべき施設、食品等を定める等、各地方公共団体ごとの地域の実情を踏まえた監視指導のあり方を定めることが望ましいこと。
また、食品衛生監視員が法又は薬事法違反となる広告等を現認した際に、行うべき指導の内容・方法に関し具体的な実施方針が示されることが望ましいこと。
エ ウの実施方針を効果的に運用するために必要な場合には、食品衛生監視員のうち薬剤師、医師、歯科医師、又は獣医師である者等を、薬事監視員として併任する等の措置を積極的にとること。
(2) 法主管課室の取組
ア (1)のウの対処方針の策定について、主導的な役割を果たすこと。
イ いわゆる健康食品の広告等を重点的に監視指導する「健康食品広告適正化推進月間」等を地域の実情等を踏まえ設定し、法主管課室が自ら、相手方の任意の協力に基づいて、健康食品の製造施設、貯蔵施設及び販売施設の実地指導に当たること。また、必要があると認めるときは、法第32条の3第3項において準用する法第27条の権限を行使することができる食品衛生監視員に同行を要請すること。
ウ 薬事法主管課室との連携を図りながら、健康食品等、法第32条の2に規定する物を取り扱う営業者等(特に、管内に存在する健康食品の製造会社及び健康食品を取り扱う小売チェーンの本社等)に対し、広告等の適正化を図るため薬事法を含む関係法令の周知広報を行い、営業者の自主的な法令遵守を促すこと。
エ 食品衛生監視又は薬事監視の場において発見された法第32条の2の規定の違反事例の通報・報告を食品衛生監視員又は薬事監視員から受けること等により、情報収集に努めること。
3 健康食品に関する苦情相談の着実な実施
保健所における健康食品に関する苦情相談については、「健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針について」(昭和63年衛新第19号)及び「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領について」(平成14年医薬発第1004001号)においてお願いしているところであり、今後とも当該苦情相談の着実な実施をお願いする。

 

(別紙)

健康増進法第32条の2の規定違反及び違反が疑われる広告等について

商品名

 

広告等の発見日時期

○○年○○月○○日

広告等の発見経路

 

広告等を行った者

業者名:

住所:

連絡先:

その他:

広告等の媒体

新聞・雑誌・テレビ・看板・インターネット

その他(  )

広告等の主な内容

 

違反が疑われる事項

 

広告等を行う者に対する立入検査の有無

有・無

食品等の収去の有無

有・無

立入検査の際に聴取した内容

 

 

 

健康保持増進効果等の根拠の有無及び理由

有・無・不明

(理由)

 

 

成分分析の有無

有・無

(有の場合は主な分析結果)

 

広告等を行う者に対する指導の有無

有・無

指導の内容

 

 

 

※ なお、本様式を送付される場合は、併せて、広告等及び入手できた広告等の内容の根拠に関する資料を添付されたい。

お問い合わせ

食品衛生課 

〒461-0011 名古屋市東区白壁1-15-1 名古屋合同庁舎第3号館 3階

電話番号:052-959-2836

ファックス:052-959-2065