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更新日:2018年3月16日

食品衛生検査施設等における検査等の業務の管理の実施について

(平成九年四月一日)
(衛食第一一七号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局食品保健課長通知)
標記については、「食品衛生検査施設における検査等の業務管理要領(平成九年一月一六日衛食第八号)」及び「指定検査機関における製品検査の業務管理要領(平成八年五月二三日衛食第一三八号)」によりその取扱いを通知したところであるが、食品衛生法施行規則(昭和二三年厚生省令第二三号。以下「規則」という。)第一八条の二の二第三号及び第一八条の六第三号ロに規定する精度管理並びに規則第一八条の二の二第四号及び第一八条の六第三号ハに規定する外部精度管理調査については、さらに左記により食品衛生検査施設において実施するとともに、厚生大臣の指定検査機関においても同様に実施されるよう周知方よろしくお願いする。
1 規則第一八条の二の二第三号及び第一八条の六第三号ロに規定する精度管理については、別添「精度管理の一般ガイドライン」により実施することとし、これによることが困難な検査項目についてはこれに準じて実施すること。
2 規則第一八条の二の二第四号及び第一八条の六第三号ハに規定する外部精度管理調査については、「食品衛生検査施設等の外部精度管理調査の実施機関について(平成九年三月二六日衛食第九一号)」に基づき、適当と認められた機関の実施する外部精度管理調査を細菌、食品添加物、残留農薬、重金属、残留動物用医薬品等の検査項目群ごとに年一回以上受けること。
3 「食品衛生検査施設における検査等の業務管理要領(平成九年一月一六日衛食第八号)」の14の(1)の①及び「指定検査機関における製品検査の業務管理要領(平成八年五月二三日衛食第一三八号)」の14の(1)の①の「真値が明らかな特別な試験品」を「添加量が明らかな試験品」に改める。

 

(別添)
精度管理の一般ガイドライン
Ⅰ 趣旨
食品衛生法施行規則第一八条の二の二第三号及び第一八条の六第三号ロに規定する精度管理の実施方法についての基本的事項を示し、効果的な精度管理の実施を確保する。
Ⅱ 理化学的検査における精度管理
1 試験品の種類
(1) 通常の試験品
「通常の試験品」とは、食品衛生法第一四条第一項及び第一五条第一項から第三項までの製品検査並びに同法第一七条第一項に係る試験(以下「検査等」という。)に供する試験品とする。
(2) 添加量が明らかな試験品
「添加量が明らかな試験品」とは、検査対象物質を含まない試験品に、基準値と同濃度となるよう検査対象物質を添加・調製した試験品及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度となるような検査対象物質を添加・調製した試験品の二種とする。
また、不検出基準のものにあっては、定量下限値の二倍の濃度となるよう検査対象物質を添加・調製した試験品とする。
なお、試験品中で均質性を確保できない食品等を試験品として使用する場合にあっては、検査対象物質を含まない食品等を粉砕、均質化した後、検査対象物質を添加・調製すること。また、脂肪中の基準値が設定されている場合にあっては、油脂に検査対象物質を添加・調製して差し支えない。
(3) 陰性対照の試験品
「陰性対照の試験品」とは、検査対象物質を含まない試験品とする。ただし、入手が困難な場合にあっては、当該検査実施手順により検査対象物質が検出されない試験品を使用して差し支えない。
2 精度管理に必要な目標値の設定
検査施設ごと及び内容が同一の検査実施手順(例:穀類、豆類及び種実類のBHC、DDT等並びに牛、豚、鶏肉中のオキシテトラサイクリン)ごとに、次により必要な目標値の設定を行うこと。
(1) 回収率等の確認
ア 基準値が設定されている物質を対象とした検査等
添加量が明らかな試験品(基準値と同濃度のもの及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度のもの)のそれぞれにおいて、試験品中の濃度と検査結果の差を最小限とするため、添加した検査対象物質の回収率を少なくとも七〇%から一二〇%を目安として確保すること(別途回収率が定められている場合を除く。)。
イ 不検出基準が設定されている物質を対象とした検査等
定量下限値を確認し、その二倍の濃度において添加した検査対象物質の回収率を少なくとも七〇%から一二〇%を目安として確保すること(別途回収率が定められている場合を除く。)。
(2) 平均値及び標準偏差の設定
(1)の条件において、検査実施手順が適切に繰り返されていることを確認するための目標値を設定するため、それぞれの濃度で少なくとも五回以上(可能であれば一〇回)繰り返し
検査を行い、その検出値の平均値(x)及び標準偏差(s)を次式により求めること。
               n
平均値:   X=(n/1)ΣXi
               i=1
                     n
標準偏差:   s=√((1/(n-1))Σ(Xi-X)2)
                     i=1
ここでnは試験品の数とする。
3 精度管理の方法
精度管理は、検査実施手順ごと及び検査担当者(指定検査機関にあっては検査員。以下同じ。)ごとに、過去一年間の当該検査施設の検査等の実施数等を参考として、当該年度に予定される検査等の実施頻度が週一回以上か否かを定めて実施すること。
ただし、一斉取り締まり等一定期間に検査等が集中する場合にあっては、当該期間中の検査頻度によること。
(1) 週一回以上の頻度で検査等を実施する場合
ア 通常検出される物質を対象とした検査等(食品添加物の使用上限の検査等)
(ア) 週一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体)及び陰性対照の試験品(一検体)の検査を実施し、回収率が少なくとも七〇%から一二〇%であることを確認すること。
なお、一週間当たりの検査等の通常の試験品の数が二〇検体を超える場合にあっては、二〇検体を超えるごとに添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体)及び陰性対照の試験品(一検体)の検査を実施し、回収率を確認すること。
(イ) 月一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体)について少なくとも五回以上繰り返し検査を実施し、平均値及び標準偏差を2の(2)と同様に求めること。
イ 通常検出されない物質を対象とした検査等(汚染物質等の検査)
(ア) 週一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体、不検出基準の場合にあっては定量下限値の二倍の濃度一検体)及び陰性対照の試験品(一検体)の検査を実施し、回収率が少なくとも七〇%から一二〇%であることを確認すること。
なお、一週当たりの検査等の通常の試験品の数が二〇検体を超える場合にあっては、二〇検体を超えるごとに添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体、不検出基準の場合にあっては定量下限値の二倍の濃度一検体)及び陰性対照(一検体)の検査を実施し、回収率を確認すること。
(イ) 月一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体、不検出基準の場合にあっては定量下限値の二倍の濃度一検体)について少なくとも五回以上繰り返し検査を実施し、平均値及び標準偏差を2の(2)と同様に求めること。
(2) 週一回未満の頻度で検査等を実施する場合
ア 通常検出される物質を対象とした検査等
(ア) 通常の試験品の検査等を実施する都度、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度のいずれか一検体)及び陰性対照の試験品(一検体)の検査を実施し、回収率が少なくとも七〇%から一二〇%であることを確認すること。
(イ) 少なくとも通常の試験品の検査等の実施の四回当たり一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体)について少なくとも五回以上繰り返し検査を実施し、平均値及び標準偏差を2の(2)と同様に求めること。
イ 通常検出されない物質を対象とした検査等
(ア) 通常の試験品の検査等を実施する都度、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度のいずれか一検体、不検出基準の場合にあっては定量下限値(b)の二倍の濃度一検体)及び陰性対照の試験品(一検体)の検査を実施し、回収率が七〇%から一二〇%の範囲内であることを確認すること。
(イ) 少なくとも通常の試験品の検査等の実施の四回当たり一回以上、添加量が明らかな試験品(基準値及び基準値(a)と定量下限値(b)の中点値((a+b)/2)の濃度いずれか一検体、不検出基準の場合にあっては定量下限値(b)の二倍の濃度一検体)について、少なくとも五回以上繰り返し検査を実施し、平均値及び標準偏差を2の(2)と同様に求めること。
4 評価
添加量が明らかな試験品の検出値及び五回以上検査した各検出値(xⅠ,(Ⅰ=1,2,3...n))についてzスコアを次により算出した場合において、次の各号に該当する場合には検査等を中止し、原因を究明して改善し、改善措置を講じたのち、通常の試験品の検査等を行うこと。
ziⅠ=|xⅠ-x/s
(1) 検出値のzスコアの値のうち、一つ以上の検出値がzi≧2となった場合
(2) 添加量が明らかな試験品の結果が不検出となった場合及び陰性対照の試験品から検出された場合
5 その他
添加量の明らかな試験品及び陰性対照の試験品の検査は、通常の試験品の検査担当者が通常の試験品と並行して実施すること。
Ⅲ 微生物学的検査における精度管理
1 試験品の種類
(1) 通常の試験品
検査等に供する試験品とする。
(2) 既知の微生物を含む試験品
「既知の微生物を含む試験品」とは、検査対象微生物を含まない試験品に基準値程度の濃度となるよう検査対象微生物を添加・調製した試験品及び基準値の五分の一程度の濃度となるよう検査対象微生物を添加・調製した試験品とする。
また、陰性基準のものにあっては、検出下限値の五倍程度の濃度となるよう検査対象微生物を添加・調製した試験品とする。
なお、試験品中で均質性を確保できない食品を使用する場合にあっては、検査対象微生物を含まない食品を粉砕、均質化した後、検査対象微生物を添加することとし、試験品の保存中に添加した微生物が死滅するおそれがある場合にあっては検査を行う直前に添加・調製をすること。
(3) 陰性対照の試験品
「陰性対照の試験品」とは、検査対象微生物を含まない試験品とする。ただし、入手が困難な場合にあっては、通常の試験品と同種の食品を加熱殺菌したもの又は当該検査実施手順により検査対象微生物が検出されなかったものを使用して差し支えない。
(4) 培地対照
未使用の調製した培地、希釈液、血清等とする。
2 精度管理に必要な目標値の設定
検査施設ごと、内容が同一の検査実施手順ごとに、次により必要な目標値の設定を行うこと。
(1) 回収率等の確認
既知の微生物を含む試験品(基準値程度の濃度のもの及び基準値の五分の一程度の濃度のもの)のそれぞれにおいて、試験品中の濃度と検査結果の差を最小限とするため、添加した既知の微生物の回収率を少なくとも七〇%から一二〇%を目安として確保すること(別途回収率が定められている場合を除く。)。
陰性基準の場合にあっては、検出下限値を確認しておくこと。
(2) 平均値及び標準偏差の設定
(1)の条件において、検査実施手順が適切に繰り返されていることを確認するための目標値を設定するため、それぞれの濃度で少なくとも五回以上(可能であれば一〇回)繰り返し検査を行い、Ⅱの2の(2)と同様にして、その検出値の平均
値(x)及び標準偏差(s)を求めること。
3 精度管理の方法
(1) 通常検出される微生物を対象とした検査等(一般細菌数の検査等)
検査等を実施する都度、既知の微生物を含む試験品(基準値程度及び基準値の五分の一程度の濃度計二検体)、陰性対照の試験品(一検体)及び培地対照について検査を行い、既知の微生物を含む試験品については回収率、陰性対照の試験品及び培地対照については結果が不検出であることを確認すること。
(2) 通常検出されない微生物を対象とした検査等(大腸菌群の検査等)
検査等を実施する都度、既知の微生物を含む試験品(検出下限値の五倍程度の濃度一検体)、陰性対照の試験品(一検体)及び培地対照について検査を行い、既知の微生物を含む試験品について結果が陽性であること、陰性対照の試験品及び培地対照について結果が陰性であることを確認すること。
(3) (1)及び(2)のいずれの場合にあっても、一回の検査等の通常の試験品の数が二〇検体を超えるごとに既知の微生物を含む試験品、陰性対照の試験品及び培地対照について、さらに検査を行うこと。
4 評価
(1) 既知の微生物を含む試験品の結果が不検出となった場合並びに陰性対照の試験品及び培地対照から検出された場合は、検査等を中止し、原因を究明して改善措置を講じた後検査等を行うこと。
(2) 既知の微生物を含む試験品の検出値について、Ⅱの4と同様にしてzスコアを算出して記録すること。
5 その他
既知の微生物を含む試験品、陰性対照の試験品及び培地対照の処理は、通常の試験品の検査等の担当者が通常の試験品と並行して実施すること。
Ⅳ その他
1 同一の検査実施手順の試験品が多種の食品等にわたっている場合には、代表的な食品等を使用して精度管理を行うこと。
2 精度管理に必要な目標値については、当面検査施設毎に設定することとしているが、一定期間経過後、各施設において設定された目標値を調査、整理し、統一的に目標値を設定することとしているので、検査施設ごと、検査実施手順ごとの目標値及び精度管理の記録が提出可能なよう適切に記録を保存すること。
3 動物を用いる検査の精度管理の方法については、標準品の確保が困難な状況であるため、当分の間、精度管理の方法を定めないこととするので、「食品衛生検査施設における検査等の業務管理要領(平成九年一月一六日衛食第八号)」及び「指定検査機関における製品検査の業務管理要領(平成八年五月二三日衛食第一三八号)」の14の(1)の③を踏まえて対応すること。

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