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令和7年3月5日
九州厚生局
再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づく改善命令について
九州厚生局長は、本日、下記のとおり、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。以下「法」という。)に基づき、再生医療等提供機関及び細胞培養加工施設に対し、法第23条第1項及び第48条第2項に基づく改善命令を行いましたので、お知らせします。
記
第1 被処分者等
氏 名 深松 建史 (医療法人聖慈会 福岡MSC医療クリニック管理者) 所 在 地 福岡県福岡市中央区天神2丁目4番11号 パシフィーク天神6階 計 画 名 自家線維芽細胞を利用した皮膚組織の再生医療(以下「線維芽」とする) 骨欠損に対する自家間葉系幹細胞培養骨を利用した硬組織の再生医療(以下「培養骨」とする) ヒト自己脂肪組織由来間葉系幹細胞投与による肝障害の治療(以下「肝障害」とする) 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた動脈硬化の進展予防のための治療(以下「動脈硬化」とする) 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた膝関節治療(以下「膝関節」とする) 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた肌再生治療(以下「肌再生」とする) 悪性腫瘍に対する自己樹状細胞による自己NKT細胞標的治療(以下「NKT」とする) 悪性腫瘍に対する自家活性化NK細胞投与による治療(以下「NK」とする) 自家多血小板血漿(PRP)を利用した軟·硬組織の再生医療(以下「PRP」とする) 上記9計画の他、計画が提出されずに行われた再生医療等 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた肝障害治療に伴う顔のむくみ発生予防を目的とした水光注射(以下「むくみ」とする) 上記9計画の内、計画が提出されず提供されていた期間のある再生医療等 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた膝関節治療(以下「無届膝関節」とする) 自己脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いた肌再生治療(以下「無届肌再生」とする) 処分内容 再生医療等の安全性の確保等に関する法律第23条第1項による改善命令 名 称 医療法人 聖慈会 (理事長:深松 建史) 所 在 地 福岡県福岡市中央区天神2丁目4番11号パシフィーク天神6階 施 設 名 医療法人聖慈会 福岡MSC医療クリニック 細胞培養センター 処分内容 再生医療等の安全性の確保等に関する法律第48条第2項による改善命令
第2 経緯
九州厚生局は令和6年に、「医療法人聖慈会 福岡MSC医療クリニック」(以下「本医療機関」という。)及び「医療法人聖慈会福岡MSC医療クリニック細胞培養センター」 (以下「本CPC」という。)における法違反を疑う情報を得た。
本医療機関及び本CPCに対して法第24条第2項及び第52条第2項に基づく立入検査、さらに本医療機関及び本CPCに対して法第24条第2項及び第52条第2項に基づく報告徴収を実施した。立入検査及び報告徴収(以下「本検査」という。)結果、以下に示す複数の再生法違反が報告された。
第3 処分の理由
本検査の結果、本医療機関及び本CPCについて、以下に示す複数の法令違反が確認された。
○本医療機関において確認された法令違反
- ・再生医療等提供計画の未提出(法第4条第1項違反)(むくみ、無届膝関節、無届肌再生)
- ・再生医療等提供計画の確認の不実施(法第13条第1号違反)(むくみ、無届膝関節、無届肌再生)
- ・再生医療等提供計画の変更届の未提出(再生医療を提供する医師、細胞採取医師、細胞培養加工施設、投与細胞数)(法第5条第1項違反)(肝障害、動脈硬化)
- ・再生医療等提供計画の不遵守(法第3条第3項違反及び再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則(平成26年厚生労働省令第110号。以下「則」という。)第10条第4項違反)(肝障害、動脈硬化)
- ・救急医療を行うための体制の確保の不実施(法第3条第3項違反及び則第6条違反)(線維芽、培養骨、肝障害、動脈硬化、膝関節、肌再生、むくみ、無届膝関節、無届肌再生)
- ・特定細胞加工物の製造及び品質管理の遵守事項の不遵守(法第3条第3項、則第8条第2項違反)(肝障害、動脈硬化、膝関節、肌再生、NKT 、NK、PRP、むくみ、 無届膝関節、無届肌再生)
- ・再生医療等に基づく記録の作成・保存の不実施(法第16条第1項及び第2項並びに則第34条第1項、第2項及び第3項違反)(肝障害、動脈硬化、むくみ、無届膝関節、無届肌再生)
- ・疾病等報告の未報告(法第17条及び第18条違反)(肝障害)
- ・定期報告の報告義務の不遵守(法第20条第1項、第21条第1項及び則第38条第1項違反)(肝障害、動脈硬化、NKT、NK、PRP)
○本CPCにおいて確認された法令違反
- ・本CPCの変更届(施設管理者)の未提出(法第40条第3項違反)
- ・施設管理者が実施すべき業務の未実施(法第44条、これに基づく則第93条第1項及び則第94条違反)
- ・定期報告の報告義務の不遵守(法第46条及び則第112条第1項違反)
第4 改善命令の概要
今般の改善命令は、本検査等の結果、第3記載のとおり複数の法令違反が確認されたことから、再生医療等の提供体制の改善を命じるものである。
1 本医療機関に対する改善命令の概要
一 再生医療等を提供するに当たり、あらかじめ法第4条第1項に基づく再生医療等提供計画を提出すること。また、法第3条第3項に基づき再生医療等提供基準に従って再生医療等を提供し、基準を満たしていることを定期的に確認する体制を確保するための措置を講ずること。則第20条に基づき、本医療機関において行われる再生医療等が再生医療等提供計画に従い適正に行われていることを随時確認するとともに、実施責任者が提供の状況について管理者に随時報告する体制を構築するための措置を講ずること。
二 再生医療等を提供しようとするときは、再生医療等の安全性の確保に支障が生じた場合その他これに準ずる場合において当該再生医療等の提供の中止又は再生医療等提供計画の変更その他の再生医療等の適正な実施を確保するために必要な措置を講じること。
三 本医療機関において再生医療等を行う医師が再生医療等を行う際に、法第13条及び第3条第3項並びに則第10条第4項に基づき、当該再生医療等が提出された再生医療等提供計画に記載された内容であることを確実に確認するための適切な措置を講ずること。
四 再生医療等を提供するに当たっては、法第16条第1項及び第2項、則第34条第2項各号並びに則第34条第3項に基づき、必要な記録の作成及びその保存並びにそのために必要な措置を講ずること。
五 本医療機関における再生医療等を行う医師が、再生医療等の提供に起因すると疑われる疾病等の発生を知ったときは、則第17条に基づき速やかに管理者及び実施責任者に報告を行うための措置を講ずるとともに、法第17条及び第18条の規定に基づき、則第35条及び第36条に定める期間内に認定再生医療等委員会及び厚生労働大臣へ報告を行う体制を確保するための措置を講ずること。
六 法第20条第1項及び第21条第1項に基づき、再生医療等提供計画に記載された再生医療等の提供の状況について、認定再生医療等委員会及び厚生労働大臣に対する定期的な報告を行うにあたり、当該報告内容が正しいことを確認する体制を確保するための措置を講ずること。
七 上記一から六に関し、是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定し、九州厚生局に提出すること。
2 本CPCに対する改善命令の概要
一 本CPCの構造設備その他厚生労働省令で定める事項を変更した場合には、30日以内に遅滞なくその旨を厚生労働大臣に届け出ることができる体制を確保するための措置を講ずること。
二 本CPCの施設管理者が、法第44条に基づく則第94条第1項及び第2項の業務を行うために必要な体制を確保するための措置を講ずること。
三 法第46条に基づき、特定細胞加工物の製造の状況について、定期的に厚生労働大臣に報告するに当たり、その報告内容が正しいことを確認する体制を確保するための措置を講ずること。
四 上記一から三に関し、是正措置及び再発防止策に係る改善計画を策定し、九州厚生局に提出すること。