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更新日:2018年2月21日

総合衛生管理製造過程の承認とHACCPシステムについて

(平成八年一〇月二二日)
(衛食第二六二号・衛乳第二四〇号)
(各都道府県・政令市・特別区衛生主管部(局)長あて厚生省生活衛生局食品保健課長・乳肉衛生課長通知)
総合衛生管理製造過程の承認(以下「承認」という。)については、その実施要領を平成八年九月三〇日付け衛乳第二二三号生活衛生局長通知により示したところであるが、本制度の適正な実施に当たっては、HACCPシステムによる衛生管理の方法を理解することが必要となることから、別添のとおり、承認とHACCPシステムに関する概要をまとめたので、参考とされたい。
また、このHACCPシステムによる食品の衛生管理の方法は、承認の対象食品以外の食品等の製造・加工施設における衛生管理を実施する上でも大変有益であるので、別添を参考にし、貴管下のこれら施設に係る営業者への周知、導入に向けての適切な助言等についても併せてお願いする。

 

(別添)
総合衛生管理製造過程の承認とHACCPシステムの概要について
第一 総合衛生管理製造過程
総合衛生管理製造過程は、食品衛生法(昭和二二年法律第二三三号。以下「法」という。)第七条の三において、「製造又は加工の方法及びその衛生管理の方法について食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が総合的に講じられた製造又は加工の工程をいう」と定義されているが、これは、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point;危害分析・重要管理点)システムによる衛生管理及びその前提となる施設設備の衛生管理等を行うことにより総合的に衛生が管理された食品の製造又は加工の工程を意味している。
第二 食品の製造等に係る一律の衛生規制と総合衛生管理製造過程の承認による衛生規制
一 食品の製造等に係る一律の規制
(一) 食品の製造等に係る一律の衛生規制
我が国では、食品の製造又は加工の方法について、法第七条で、厚生大臣が、公衆衛生上の見地から、
ア 販売の用に供する食品の製造又は加工の方法について基準を定めることができるとされ(第一項)、例えば食肉製品、乳製品、清涼飲料水等について一律の基準を設けており、
イ その基準に合わない方法による食品の製造を禁止している(第二項)。
(二) また、法第一九条の一七では、乳製品等の製造又は加工の過程において特に衛生上の考慮を必要とする食品等であって政令で定めるものの製造又は加工を行う営業者は、その製造又は加工を衛生的に管理させるため、
ア その施設ごとに、選任の食品衛生管理者を置かなければならないと規定しており(第一項)
イ 食品衛生管理者は、食品又は添加物の製造又は加工に従事する者を監督しなければならないとともに(第三項)、
ウ 当該管理者の資格要件を定め(第四項)、
エ さらに個別の管理者の変更の際には、届出を要すること(第六項)
としている。
(三) これらの規制は、衛生を確保するうえで、すべての営業者がそれを遵守できる事項にポイントを絞った規制となっている反面、画一的で厳格な基準となっている。
二 総合衛生管理製造過程の承認による衛生規制
総合衛生管理製造過程の承認(以下「承認」という。)は、営業者がHACCPシステムの考え方に基づいて自ら設定した食品の製造又は加工の方法及びその衛生管理の方法について、厚生大臣が承認基準に適合することを個別に確認するものであり、これにより承認を受けた総合衛生管理製造過程を経た食品の製造又は加工は、法第七条第一項に基づく製造方法の基準に適合した方法による食品の製造又は加工の方法とみなされる。したがって、法第七条第一項に基づく画一的な製造又は加工の方法の基準によらず、工程の各段階において安全性に配慮した多様な方法により食品を製造することが可能となるものである。
また、承認時には、工程の各段階の責任者の設置、改善措置の明確化、サンプリング検査による検証の実施、必要事項の記録の実施等のHACCPシステムによる適切な衛生管理体制が確立されていることを確認することから、法第一九条の一七による食品衛生管理者の設置を要しないこととしているものである。
なお、法第七条の三による承認を受けた総合衛生管理製造過程を経た食品の製造又は加工については、法第七条第一項の規定に基づく製造又は加工の方法の基準に適合した方法による食品の製造又は加工とみなして、この法律又は法律に基づく命令の規定を適用するものであるが、当該製造又は加工の工程を経た食品は、法第七条第一項の規定に基づく規格に適合しなければならない。
承認の申請は、法第七条第一項の規定に基づく製造又は加工の方法の基準に適合しない方法をとる場合に限られるものではなく、承認を得ることにより食品衛生管理者の設置が不要となるものであるので、現行の製造又は加工の方法の基準と同じ方法をとる場合であっても、申請を行うことは可能であり、適切に総合衛生管理製造過程が作成されていれば承認を受けることができる。
第三 HACCPシステム
営業者は、通常、食品が安全であることを保証するために、最終製品についてロット毎に微生物等の検査を実施し、その結果が判明してから製品を出荷している。この方法において、食品が安全に製造されたことの信頼性を高めるためには、ロット毎のサンプル数をふやす必要があるが、同時に検査にかかるコストが増大することや、検査しなかった製品の安全を必ずしも保証するものではないという限界がある。
一方、HACCPシステムによる衛生管理の方法は、最終製品の検査に重点をおいた従来の衛生管理の方法とは異なり、食品の安全性について危害を予測し、危害を管理することができる工程を重要管理点として特定し、重点的に管理することにより、工程全般を通じて危害の発生を防止し、製品の安全確保を図るという方法である。
具体的には、営業者が自ら、
ア 食品の製造又は加工のすべての工程で発生するおそれのある微生物等の危害を調査・解析(Hazard Analysis:HA)し、
イ この分析の結果に基づいて、何らかの措置を講ずることにより、危害の発生を防止し、安全な製品を得ることができる工程を重要管理点(Critical Control Point:CCP)として定め、
ウ 重要管理点が常に管理されていることを確認するため、集中的かつ常時、モニタリングを行い、
エ 重要管理点の管理状態が不適切な場合には、すみやかに改善措置を講じ、
オ さらに、その管理内容をすべて記録すること
により、危害の発生を予防するものであり、結果として最終製品全体の安全を保証することとなる。
第四 HACCPシステム適用のための一二手順
営業者は、次のHACCPシステム適用のための一二手順にしたがって、HACCPシステムによる衛生管理の実施計画(以下「計画」という。)を作成し、実施することが必要である。
(一) 専門家チームの編成        (手順一)
(二) 製品の記述            (手順二)
(三) 意図される使用方法の確認     (手順三)
(四) 製造工程一覧図及び施設の図面   (手順四)
(五) 現場確認             (手順五)
(六) 危害分析             (手順六)
(七) 重要管理点の特定         (手順七)
(八) 管理基準の設定          (手順八)
(九) モニタリング方法の設定      (手順九)
(一〇) 改善措置の設定         (手順一〇)
(一一) 検証方法の設定         (手順一一)
(一二) 記録保存及び文書作成規定の設定 (手順一二)
第五 HACCPシステムの作成と実施
一 専門家チームの編成(手順一)
HACCPシステムによる衛生管理を実施するためには、企業内の全従業員が、HACCPシステムについて共通の認識と目的をもって実施することが必要である。従って、営業者は、企業におけるHACCPシステム導入の決定に際しては、自らその目的意識と推進意欲を表明し、それらを全従業員に対し理解させることが最も重要である。
HACCPシステムによる衛生管理は、まず、製品について専門的な知識及び技術を有する者をメンバーとする専門家チームを編成することが必要である。この専門家チームは、営業者又は施設の長(工場長)をリーダーとして、品質管理(原料、製品等の試験検査に係る部門)の責任者及び製造管理(製造又は加工に係る部門)の責任者を中心として編成することが必要である。
専門家チームの役割は、計画の作成のほか、
ア 従業員の教育訓練
社内において専門家チームが主体となって行う従業員に対する適正な内容の講習会の実施による従業員の教育訓練の推進
イ 検証結果の評価
ウ 計画の定期的な見直しと修正
エ 外部査察への対応
等がある。
また、営業者は、計画を作成し、かつそれを適正に実施するために必要となる専門的な知識を習得する者を専門家チームの構成メンバーとして選任、育成するため、その者に対し、HACCPシステムに関する講習会を受講させる必要がある。
なお、専門家チームには、必要に応じて、外部機関の専門家を専門家チームに参加させることも可能である。適切な計画の作成のために、行政による適切な指導・助言を受けるとともに、一般的HACCPモデル等も参考としながら、HACCP計画を適切に作成し、実施する必要がある。
二 製品の記述(手順二)、意図される使用方法の確認(手順三)、製造工程一覧図及び施設の図面の作成(手順四)及びその現場確認(手順五)
(一) 危害分析の基礎となる情報の整理
計画を適切に作成するに当たり、危害分析を実施するための準備となる作業として、原材料や工程等に係る事項について、次により、製品の記述(手順二)、意図される使用方法の確認(手順三)、製造工程一覧図及び施設の図面を作成(手順四)し、危害分析の基礎となる情報を整理することが必要となる。
ア 製品の記述(手順二)及び意図される使用方法の確認(手順三)
製品の名称及び種類、原材料に関する事項、添加物の名称及びその使用量、容器包装の形態及び材質、性状及び特性、製品の規格、消費期限又は品質保持期限及び保存方法、喫食又は利用の方法、販売等の対象とする消費者層について整理し、製品説明書を作成すること。
イ 製造工程一覧図及び施設の図面の作成(手順四)
製造工程一覧図には、製造又は加工の工程のほか、製造又は加工に用いる機械器具の性能に関する事項、各工程ごとの作業内容、作業時間及び作業担当者、機械器具の仕様を記載すること。また、施設の図面には、施設設備の構造、製品等の移動の経路、機械器具の配置、従事者の配置及び動線、作業場内の清浄度に応じた区分を記載すること。
(二) 製造工程一覧図及び施設の図面の現場確認(手順五)
製造工程一覧図及び施設の図面は、事実を正しく反映していなければならない。したがって、実際の製品の製造又は加工の操業中の作業現場において、当該製造又は加工の工程、実際の作業現場を確認することが必要である。
三 危害分析(手順六)
危害分析は、計画作成の基本作業であり、製品につき発生するおそれのあるすべての食品衛生上の危害について、当該危害の原因となる物質を明らかにした上で、それらの発生要因及び防止措置を明らかにすることである。
(一) 危害の原因となる物質の特定
危害分析の実施に当たっては、食品衛生に係る科学的知見、食品事故発生例のデータ等をもとに、危害が発生するおそれのある工程ごとに、危害の原因となる物質を列挙し、さらに危害の重篤性及び発生頻度を考慮してリスクアセスメントを行うことが必要である。
(二) 危害の発生要因及び防止措置の特定
このような危害分析を行うと同時に、危害の原因となる物質及び危害が発生するおそれのある工程ごとに、危害の発生要因及び防止措置を特定することが必要である。この措置には、食品を製造又は加工の時点で行う工程そのものの衛生管理と、施設設備、機械器具の洗浄、保守点検等の一般的衛生管理による措置がある。
四 重要管理点の特定(手順七)及び管理基準の設定(手順八)
(一) 重要管理点の特定(手順七)
危害分析の結果、明らかにされた危害の発生を防止するために、特に重点的に管理すべき工程を重要管理点として定めなければならない。
なお、HACCPシステムによる衛生管理とは、重要管理点を常に管理することが特徴であるので、重要管理点は工程において必ず管理が必要となる箇所に限定し、その管理を集中させることが必要である。
(二) 管理基準の設定(手順八)
管理基準とは、重要管理点において遵守すべき基準である。
HACCPによる食品の衛生管理の特徴は、重要管理点において危害が適切に制御されているかどうかを即座に判断できることにある。したがって、管理基準は、基本的には、温度、時間、pH、色調等、計測機器を用いて常時又は相当の頻度で測定することができる指標を用いた基準とすることが必要である。
例えば、最終製品において大腸菌群が陰性であることを達成するために、製造工程において加熱殺菌を行うこととした場合、食品を製造している時点で、当該工程において大腸菌が陰性となっていることを直接確認することは困難である。したがって、あらかじめ、当該加熱殺菌による微生物死滅効果を正しく把握することにより、食品の製造時には、加熱温度及び加熱時間が適切に遵守されていることを確認すれば大腸菌群が陰性となっていることが明らかとなる。この加熱温度及び加熱時間が当該工程における管理基準となる。
なお、加熱殺菌による微生物の死滅効果を証明する方法としては、学術文献による確認や微生物接種試験を実施する等の方法がある。
五 モニタリング方法の設定(手順九)
モニタリングの目的は、重要管理点において、危害の発生を防止するための措置が確実に実施されていることを確認することにある。
四の(二)の例においては、「温度計を用いて温度を測定すること」がモニタリング方法となる。
モニタリング方法は、基本的に、重要管理点におけるモニタリングの測定値が管理基準を逸脱した場合に、それを目視等により即時的に確認することができるものでなければならない。また、モニタリングは連続的又は相当の頻度で行われることが必要とされ、その実施者を特定することも必要である。さらに、その実施状況は正しく記録されなければならない。
六 改善措置の設定(手順一〇)
HACCPシステムでは、重要管理点においてモニタリングの測定値が管理基準を逸脱したことが判明した場合、管理基準の逸脱により影響を受けた製品を排除し、重要管理点における管理状態を迅速かつ的確に正常に戻さなければならない。
そのために、
ア 迅速かつ的確に管理状態を正常に戻すことができる具体的な改善措置(機械器具の修理、調整、メンテナンス及び取り替えなど)を定めること。
イ 管理基準を逸脱していた間に製造された製品の適切な処分方法を定めること
ウ 改善措置を実施する者が定められていること
等が必要である。
また、その実施状況は正しく記録されなければならない。
七 検証方法の設定(手順一一)
HACCPシステムでは、検証により、HACCPによる衛生管理の実施計画が適切に機能していることを、計画の作成時及び実施後に継続的に確認、評価しなければならない。
検証には、
ア 製品等の試験検査
イ 記録の点検
ウ 重要管理点におけるモニタリングに用いる計測機器の校正
エ 苦情又は回収の原因の解析
オ 実施計画の定期的な見直し
等があり、これらの実施状況は正確に記録されなければならない。
なお、製品等の試験検査を実施する場合、原則として、全ての危害の原因となる物質が許容値に収まっていることを確認する必要があるが、例えば、加熱殺菌を行う食品においては、耐熱性が最も高い菌を指標菌として、当該指標菌が確実に除去されていることを確認することにより、その他の微生物についても除去されていることが明らかとなる。したがって、食品の製造方法等に応じた適切な指標菌を用いれば、効率的に検証することが可能となる。
八 記録保存及び文書作成規定の設定(手順一二)
記録を正確に作成し、それを保存することにより、計画を適切に実施したことの証拠を作成することができる。この記録は、営業者が、計画が適切であることの検証等に有効に活用できるだけでなく、食品衛生監視員による監視の際の有効な情報となる。また、仮に、食品の安全に係る問題が生じた場合、計画の実施状況を過去に遡って調査することなどにより、その原因究明を容易にするものでもある。
記録すべき事項としては、重要管理点におけるモニタリング、改善措置、一般的な衛生管理及び検証に関する事項がある。また、当該記録の保存の方法及び期間を定めることが必要となる。
第六 一般的な衛生管理事項(食品の衛生を確保する上であらかじめ必要となる施設設備等の衛生管理事項
HACCPシステムによる衛生管理を効果的に実施するためには、その前提として、食品の製造に用いる施設設備の保守点検等の一般的な衛生管理が確実に実施されることが必要である。
施設設備の衛生管理・保守点検、原材料・包装資材の保管等の衛生的取扱い、従業員の衛生管理・教育訓練、製品の回収方法等を適切に実施すれば、環境から食品への汚染を防止することができるため、危害の発生を防止するために極めて重要な工程である重要管理点(CCP)の管理に注意を集中させることができる。HACCPはそれ単独で機能するものではなく、一般的な衛生管理を実施することにより、包括的に食品の衛生を確保することが可能となるものである。
諸外国においても、HACCPによる衛生管理を確実に実施するためには、施設設備などの衛生管理を実施することが必要であるとしており、例えば、米国では、製品の安全を確保するために必要となる基本的な施設内環境の衛生管理の実施要件(prerequisite programs)を定め、衛生(Sanitation)、適正製造規範(Good Manufacturing Practices)、従業員の教育訓練(Training)、製品回収(Recall Program)、機械器具の保守点検(Preventive Maintenance)等を実施している。
なお、これらの一般的な衛生管理事項についても、HACCPシステムによる衛生管理と同様に、その実施方法、実施内容の点検及び記録の方法について具体的な文書を作成することが必要である。
第七 企業における衛生管理体制
計画の適正な実施のために、企業における衛生管理体制は、基本的に、製造部門と品質管理部門において行われ、製造部門においては、計画の具体的実施に関する事項を実施し、品質管理部門においては、計画の検証に関する事項を実施する。
また、それぞれの部署の業務の所掌及び権限は明確にされるべきであり、品質管理部門は経営者直轄の独立した組織により行われることが望まれる。
各部署においては、それぞれの責任者の指示のもと、業務が適切に実施されなければならない。したがって、責任者は、衛生管理に係る業務の内容に応じて、当該業務を実施する者を特定しなければならない。さらに、特定された者は、責任をもって当該業務を行う必要がある。
第八 営業者による自主的取組
食品衛生は、営業者の自主的な取組みにより確保されるべきものであることはいうまでもない。営業者がHACCPシステムにより衛生管理を適正に行うためには、食品の製造に係る高度かつ専門的な知識が求められるため、営業者が相互に協力することも必要である。このため、当該営業者で組織する団体が次のような事項を行うことが望ましい。
ア HACCP計画を作成する際の適切な助言及び申請前の申請書等の確認を行うこと等により、営業者が適切にHACCPシステムを実施できるよう支援すること。
イ 営業者、消費者等からの問い合わせに対して、適切な情報提供を行うこと。
ウ 営業者を対象とするHACCPシステムによる衛生管理に関する講習会を実施すること。
第九 行政(厚生省及び都道府県等)の役割
一 営業者等への支援・情報提供
(一) 営業者がHACCPシステムによる食品の衛生管理を適切に実施するためには、HACCPシステムに関する専門的な情報が必要となる。そこで、厚生省は、次により、必要な情報を提供する。
ア 危害の原因となる物質のリストの作成等
施行規則及び乳等省令の別表にも示しているように、食品ごとに、当該食品について発生するおそれのある食品衛生上の危害を具体的に明示することにより、危害に関する情報を営業者に提供する。
イ 適切なモニタリング方法の開発、検証に用いる試験検査方法の設定
HACCPシステムを効果的・効率的に実施するためには、重要管理点における管理基準が適切に遵守されていることを確認するための、簡易で迅速なモニタリングの方法を開発する。また、HACCP計画が適切に実施されていることを検証するための微生物等の試験検査の方法、試験検査等に用いる指標菌を明示する。
ウ 一般的なHACCPモデルの策定
営業者が、HACCP計画を作成する際に、食品の種類に応じた具体的なモデルを参考とすることは有益であることから、食品衛生に係る研究者及び食品製造に係る専門家と協同で、一般的なHACCPモデルを作成し、営業者へ提供する。
(二) また、都道府県等は、モニタリング方法、試験検査方法等を、営業者へ普及することが必要である。
二 教育訓練
(一) 営業者は、HACCPシステムによる衛生管理の実施に必要な食品衛生上の知識、技術等を十分に理解・習得した者を企業内に配置する必要がある。したがって、厚生省は、次の事項について実施する。
ア HACCPシステムに関する専門的な知識を習得するための教育訓練の教材等を提供すること。
イ HACCPシステムの教育訓練を実施する講師を育成すること。
ウ 食品の種類に応じた技術的・専門的な助言を行う団体を育成し、当該団体に対し、営業者への適切な助言・指導、HACCPシステムに関する教育訓練の実施を行うよう指導すること。
(二) また、都道府県等は、営業者に対し、HACCPシステムに関する講習会を受講した者を企業内に配置するよう指導することが必要である。
三 適切な指導等
(一) HACCP計画作成時の助言
都道府県等は、営業者がHACCPシステムによる衛生管理の計画を作成する際には、専門的な立場から適切な助言を行い、営業者が適切に計画を作成するよう導くことが必要である。その際には、厚生省が提供したHACCPに関する情報等も参考とすることが有用である。
(二) 検証の実施等
HACCPが適切に実施されていることの検証は、基本的には、企業内の専門家チームが中心となって実施するものであるが、さらに、行政による検証も必要となる。すなわち都道府県等の食品衛生監視員は、施設の臨検検査の際に、併せてHACCPによる衛生管理が適切に実施されていることを検証することとされている。
施設の臨検検査の際には、従来の監視手法では、その時点における衛生管理の実施状況の評価に重点が置かれていたが、HACCPが実施されている施設では、衛生管理の実施状況に関する記録等を確認することにより、時間的経過を遡って、通常行われている衛生管理の実施状況全体を検証することができる。
また、従来の最終製品の抽出検査に重点をおいたいわゆるスポット検査と異なり、食品の安全に最も影響を及ぼす箇所を集中してチェックすることができるようになる。
こうした検証の結果等をもとに、食品衛生監視員は、専門的立場から営業者に対して適切な指導・助言を行うことが必要である。

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