中国四国厚生局 > 中国四国厚生局について > せんだん通信-中国四国厚生局だより- > せんだん通信 -中国四国厚生局だより 平成24年4月号(平成24年4月5日発行)

ここから本文です。

更新日:2013年3月18日

せんだん通信 -中国四国厚生局だより 平成24年4月号(平成24年4月5日発行)

【目次】

せんだん通信 -中国四国厚生局だより

広島城と桜

巻頭言  社会保障制度の個人的効用

中国四国厚生局長 川尻 良夫

 今年の冬は本当に長く、3月後半になっても真冬を思わせる日が何度もありましたが、ようやく春めいてきました。中国四国厚生局も、新人を始め多くの新しい職員を迎え新年度がスタートしました。
 ところで、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「平成21年度社会保障給付費」によれば、同年度の高齢者関係給付費(年金保険給付費+高齢者医療給付費+老人福祉サービス給付費+高年齢雇用継続給付)は68兆6,422億円に上ります。ここから給付対象者が65歳未満に限られる高年齢雇用継続給付費を除くと、68兆4,997億円となります。
 これら給付の対象年齢は微妙に異なるため大雑把な試算でしかありませんが、後者の金額を当時の65歳以上人口(2,901万人)で割れば、高齢者1人当たりの給付費は236.1万円になります。高齢者自身が払う医療保険料や介護保険料などを割り引いたとしても、高齢者1人当たり年間200万円以上の所得移転がなされているという計算です。
 我が家は、私も妻も2人兄弟(姉妹)でサラリーマン家庭に育っていますので、同世代の典型的な家族構成と言えると思います。つい先日まで双方の両親が健在でしたが、年金以外の収入は殆どありません。仮に社会保障給付が無く、私と妻が1人分ずつ実家に仕送りをしなければならないとしたら、毎月30万円以上の仕送りが必要になる計算です(200万円×2(人)÷12(月)=33.3万円)。
 「社会保障と税の一体改革」については、「給付を受ける高齢世代vs税や社会保険料を支払う現役世代」という対立の構図で語られがちです。しかし、平均的に言って現役世代の中で最も多額の税・社会保険料負担をする50歳代にとってみると、両親の生活費や医療費・介護費のための仕送りを殆どせずに済んでいる点で、社会保障制度から大きなメリットを受けているといえます。
 この仕送り不要のメリット(上記試算でいえば毎月30万円以上)と、現に自らが負担する税や社会保険料(消費税や事業主負担を含む。)を単純比較してみると、多くの方は前者の社会保障制度によるメリットの方が大きいのではないでしょうか。しかも、この比較は現役世代自身が様々な公共サービスや医療保険給付を受けていることを考慮していません。このことは今の現役世代が平均的にいえば「過小負担」であることを示していると見ることも出来ます。
 大震災、人口減少、景気の停滞、政治情勢の不透明など閉塞感が募る中、社会保障制度については負担の面が強調されがちですが、国民1人1人にとって社会保障制度がどのような効用をもたらしているのか、いま一度地に足を付けて考えてみることが必要なように思います。
 私たち地方厚生局に社会保障制度の枠組みを変える権限はありませんが、地域の方々に対し社会保障制度の現状を専門家として分かり易く説明することは可能ですし、そうしていく必要があると考えています。

特集①  平成24年度の診療報酬改定について

医療課 奥村 正憲

○診療報酬とは?

 「診療報酬(調剤報酬も含みます。)」とは、保険医療機関(保険薬局を含みます。)が患者の皆様に対して行う検査や処置等の保険診療(保険調剤を含みます。)の対価のことです。皆様が保険診療を受けた際には、その対価の一部を治療費として、各人の負担割合(1割~3割)に応じ、保険医療機関の窓口で支払うことになります。
 この診療報酬は、超高齢社会においても、国民の皆様が良質な医療を継続して受けられるよう、医療保険制度を堅持しつつ、貴重な医療費財源を効率的・効果的に配分することを目的として、原則として2年に1回改定され、今年がその改定年にあたります。

○平成24年度の診療報酬改正ポイント

 今回の改正では、依然として厳しい経済状況や保険財政を踏まえつつも、国民の皆様が良質な医療を受けられるよう、病院勤務医等の負担軽減への取り組み、在宅医療等をさらに推進するため、薬剤等の価格を約1.375%引き下げる一方で、医師の診療に係る技術料等を約1.379%引き上げることとなりました。

 今回引き上げられた診療部分は、医科、歯科及び調剤にそれぞれ配分されることとなりますが、重点的に配分された7つの分野と、その分野ごとにおける、平成24年4月からの具体的な費用負担を説明いたします。(※なお、例示の金額については10割相当分を記載していますが、皆様の費用負担は、加入されている公的保険制度により割合(1割~3割)が異なります。)

☆医科

①「負担の大きな医療従事者の負担軽減」

 病院勤務医等の負担を軽減するため、救急救命センターに患者が集中しない仕組みを推進するとともに、質の高い救命救急入院に係る医療を評価します。

  例)15歳未満の小児患者が、小児集中治療を行う医師等の医療従事者が常時配置され、十分な治療設備を有した医療機関の特定集中治療室で治療を受けた場合

  「新設」155,500円(入院後7日以内において、1日につき)(小児特定集中治療室管理料)

②「医療と介護等の機能分化や円滑な連携、在宅医療の充実」

 在宅療養中の患者に対して24時間及び緊急時の対応を行う医療機関を評価します。

  例)在宅療養を支援する診療所が、深夜(午後10時から午前6時までの間)に往診を行った場合

  「旧」23,000円→「新」27,000円(在宅療養支援診療所の往診料・深夜加算)

③「がん治療、認知症治療などの医療技術の進歩の促進と導入」

 がんや認知症等の疾病対策の推進を評価します。

  例)認知症専門医が他の医療機関から紹介された認知症の患者に対して、診断のうえ、今後の治療計画や緊急時の対応等を含めた療養計画を文書で提供した場合

  「旧」5,000円→「新」7,000円(認知症専門診断管理料1)

☆歯科

④「チーム医療の推進や在宅歯科医療の充実等」

 がん患者の術前・術後における口腔機能の管理や在宅療養中の患者の歯科診療を評価します。

  例)患者宅で歯科訪問診療を行った場合

  「旧」8,300円→「新」8,500円(歯科訪問診療料1)

⑤「生活の質に配慮した歯科医療の適切な評価」

 歯周病や虫歯の治療を評価します。

  例)歯の神経を除去(抜髄ばつずい)した場合(1歯につき)

  「旧」2,200円→「新」2,280円(抜髄)

☆調剤

⑥「在宅薬剤管理指導業務の推進や薬局における薬学的管理及び指導の充実」

 自宅療養中の患者に対する調剤業務や乳幼児等への服薬指導を行う体制を評価します。

  例)患者宅に訪問して服薬指導を行う薬局が調剤を行う場合

  「新設」150円(在宅患者調剤加算)

⑦「後発医薬品の使用推進」

 後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用割合が高い薬局を評価します。

  例)後発医薬品を調剤した割合が調剤全体の35%以上の薬局が調剤を行う場合

  「旧」170円→「新」190円 (後発医薬品調剤体制加算3)

 以上、自己負担が増える例を挙げていますが、薬剤価格が下がることで自己負担の総額が軽減される方もいらっしゃいますので、保険医療機関の窓口でのお支払いの際は、領収書や明細書をご確認ください。

特集②  95の臨床研修病院が参加予定 臨床研修病院合同説明会を4月29日に開催します。

医事課 神門 征史

 医師臨床研修制度とは、医師法に定められた制度で、診療に従事しようとする医師は、2年以上の研修を受けなければならないとされています。その研修を行う施設は、大学(医学部附属)病院と、厚生労働大臣が指定した基幹型臨床研修病院です。
 中国四国厚生局では、これらの病院を一堂に集め、医学生(主に6年生、5年生)を対象に、下記の合同説明会を開催します。

【臨床研修病院合同説明会】
 開催日:平成24年4月29日(日)10:00~16:00
 開催場所:岡山コンベンションホール(岡山市北区駅元町14-1)

○説明会参加者の皆さまへ

 医師としての最初の2年間をどこでスタートするか、自分のキャリアを決める最初の大きな選択がやってきます。先輩医師からの情報、REIS(※)などインターネット情報、雑誌のランキングなど色々な情報があると思いますが、自分に合いそうな臨床研修病院、臨床研修プログラムは見つかったでしょうか?
 昨年の先輩方は研修先を選んだ理由として「多くの症例が経験できる」「プログラムが充実している」「プライマリケアの能力を修得できる」などを挙げています(下表)。皆さんも候補に選んだ病院について、そのような判断ができる情報は手に入りましたか?

 卒業した大学の附属病院以外を研修先として選ぼうとする方は、新しい職場環境、人間関係などを前もって知りたくはありませんか?
 (※)REIS:「臨床研修プログラム検索サイト」の通称で、各臨床研修病院の概要、プログラム情報を閲覧することができます。

 

◆臨床研修病院を行った病院を選んだ理由(複数回答)
臨床研修病院を行った病院を選んだ理由(複数回答)

(平成22年度臨床研修修了者アンケート結果、厚生労働省臨床研修制度の評価に関するワーキンググループ第1回資料より一部改変)

 中国四国厚生局では「臨床研修病院合同説明会」を毎年開催して、医学生に臨床研修病院の情報を提供しています。臨床研修病院が集まる説明会に参加して、お目当ての病院の指導医の先生方や医療スタッフの方から、研修プログラムに関するいろいろな疑問や現場の情報を直接お聞きしてはいかがでしょうか。
 今年は中国四国112の基幹型臨床研修病院のうち、95施設から指導医をはじめ医療スタッフが参加します(参加施設一覧は こちら )。
 候補としている研修プログラムが複数あるのであれば、どのプログラムが自分のキャリアパスに合っているか、どの医療機関が自分の考え方に近いのか説明会の各ブースで確認することもできますし、医療機関の方々から直接お話を伺うことで、指導にあたる先生の熱意、医療スタッフの方々のサポートなども肌で感じていただけると思います。

 平成16年度にスタートした臨床研修制度は開始から8年目を迎えました。今年の研修では研修医としての2年を含む7年以上の臨床経験をもつ指導医が、いよいよ次世代の研修医の指導に関わるようになります。今回の説明で行う特別講演では、臨床研修を修了し指導医講習会を経験した先輩医師から、「臨床研修の期間を充実させるために(仮題)」と題して、アドバイスを頂く予定です。

 会場となる岡山コンベンションホールは岡山駅西口から徒歩3分程度です。ゴールデンウィーク中の開催ではありますが、全国の医学生の皆様のご参加をお待ちしております。

◆会場周辺案内図
会場周辺案内図

各課からのメッセージ  医療保険制度の安定的な運営のために

管理課 田房 正明

 管理課では、医療法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律等の規定に基づき、以下のとおり主に3つの業務を通じて、医療保険制度の安定的な運営が図られるよう努めています。

1.都道府県の区域を超える医療法人に係る定款変更等の認可ついて

 医療法人は、その設立や定款変更等を行う際には、都道府県知事の許可を受けることになっています。しかし、2以上の都道府県において病院、診療所または介護老人保健施設を開設している医療法人の定款変更等は、複数の都道府県にまたがることから、厚生労働大臣の認可を受けなければなりません。なお、厚生労働大臣の認可等の権限は、地方厚生局長に委任されています。
 管理課では、2以上の都道府県において病院、診療所または介護老人保健施設を開設している医療法人(平成24年1月1日現在中国四国管内18法人)の定款変更等の認可、事業報告書等の届出受理を行っています。
  • 中国四国厚生局が所管する医療法人

2.社会保険診療報酬支払基金の行う業務の監督について

 保険医療機関(保険薬局を含みます。)で被保険者が保険診療(保険調剤を含みます。)を受けた場合には、一部負担金の支払いが生じますが、残りの部分については、全国健康保険協会や市町村などの保険者が保険医療機関へ支払うことになります。
 しかし、保険者と保険医療機関が直接やり取りすることは膨大な事務量が発生し非効率となります。そこで、社会保険診療報酬支払基金が保険者から委託を受けて、この事務を代行しています。社会保険診療報酬支払基金は、保険医療機関から診療報酬の請求を受け付け、請求内容を審査したのち保険者に費用請求を行い、保険医療機関に診療報酬を支払う業務を行っています。(国民健康保険に関しては、都道府県国民健康保険団体連合会が行っています。)
 管理課では、中国地方に所在する社会保険診療報酬支払基金各支部が行う診療報酬請求明細書(レセプト)の審査業務や支払業務が適切に行われているかなどについて、実地監査を実施しています。平成23年度は、島根支部と広島支部に対して実地監査を実施しました。

3.国民健康保険及び後期高齢者医療に関する助言指導業務について

 国の医療保険制度は、職域保険と地域保険に大別することができます。
 職域保険とは、企業等に勤務する者や公務員等が加入する保険制度で被用者保険ともいいます。(被用者保険を管轄している保険者は、全国健康保険協会、健康保険組合、各種共済組合があります。)
 地域保険には、各市町村が保険者となって運営している国民健康保険及び後期高齢者医療制度があります。市町村が運営する国民健康保険以外に、同種の事業又は業務に従事する者で組織された国民健康保険組合があります。国民健康保険組合の設立は、都道府県知事の認可が必要で、建設工事業国民健康保険組合、医師国民健康保険組合などがあります。
 管理課では、国民健康保険及び後期高齢者医療制度について、安定的かつ適正な事業運営の確保が図られるよう、都道府県、市町村保険者、国民健康保険組合、後期高齢者医療広域連合に対して財政状況、保険料(税)収納状況、特定健康診査及び特定保健指導といった保健事業の実施状況のほか、事務の執行状況全般について実地に助言指導を行っています。

平成23年度中に助言指導を実施した県及び保険者等
鳥取県 鳥取市 鳥取県国民健康保険団体連合会 鳥取県後期高齢者医療広域連合
島根県 出雲市 島根県医師国民健康保険組合 島根県後期高齢者医療広域連合
岡山県 津山市 岡山県国民健康保険団体連合会 岡山県後期高齢者医療広域連合
広島県 東広島市 広島県歯科医師国民健康保険組合 広島県後期高齢者医療広域連合
山口県 周南市 - 山口県後期高齢者医療広域連合
◆医療保険制度の基本的な仕組み
医療保険制度の基本的な仕組み

あとがき

 街を歩く人々の装いが日に日に明るい色に変わっています。4月に入り、各地で桜の花がほころび始め、広島でもまもなく満開を迎えることでしょう。
 新年度になって、新しい環境でこの「せんだん通信」をご覧いただいている方も多いと思います。昨年11月に産声をあげたこの「せんだん通信」は今号で早くも第6号の発行になります。今後も内容の充実に努めていきますので、今年度も引き続きご愛読ください。 (M.N.)

バックナンバー

お問い合わせ

企画調整課 

〒730-0012 広島県広島市中区上八丁堀6-30 広島合同庁舎4号館2階

電話番号:082-223-8245

ファックス:082-223-8265