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更新日:2013年3月18日

せんだん通信 -中国四国厚生局だより平成24年11月号(平成24年11月5日発行)

【目次】

木々が色づき始めました
木々が色づき始めました

巻頭言  過去の経験から学ぶもの

指導総括管理官 島崎 久義

現在の年金受給権者現況届
現在の年金受給権者現況届

 紅葉のシーズンです。全国には沢山の見所がありますが、私の故郷である飛騨高山の奥飛騨温泉郷のロープウェイから見る乗鞍岳、焼岳、穂高連峰などの北アルプスの雄大な山々、世界遺産で有名な合掌造りの白川郷、初めて単身赴任した富山県のトロッコ電車の車窓から眺める日本最深のV字峡の黒部峡谷の紅葉は本当に素晴らしいものです。広島県においても、宮島の紅葉谷公園など秋を満喫できるところがあります。皆さんも青空のもと、紅葉狩りに出かけてみませんか。

 さて、古い話ですが、私は、平成7年4月から平成10年3月までの3年間、社会保険庁(現在の日本年金機構)の企画調整係長として、①年金受給者の生存に関する証明の廃止、②年金振込通知書の簡略化、③介護保険料の年金からの天引きを担当していました。

 今回はこのうち、①年金受給者の生存に関する証明の廃止について、お話をさせていただきたいと思います。

 当時は、年金を受けている方が、年金を引き続き受け取るためには、毎年、年金受給者ご本人の誕生月の末日までに、現況届に市区町村長の「生存証明」を受けて、社会保険庁に提出することになっており、提出がなかった場合は、年金が差し止めになっていました。この市区町村長の証明を貰うために、年金受給者の方は、わざわざ市区町村の役場等に出かけていたのです。当時の国民年金の受給者は約1,500万人、厚生年金の受給者は約1,400万人で、私の田舎のように、交通機関が発達していなく、また、雪深いところにお住まいの方にとっては、それこそ一日がかりのことでした。

 そのような状況の中で年金受給者の方々や各方面から、負担がかかるのでこの証明を廃止してほしいとの要望があり、上司から証明の廃止を検討するようにと指示がありました。

 年金を支払っている現場の声は、証明を廃止したら年金の不正受給が増えるなどと疑問視する意見も少なからずありましたが、年金受給者のためにどうしたら良いものかと日夜係員や上司と議論し検討した結果、市区町村長から生存証明を受ける代わりに、年金受給者が郵送されてきた現況届(ハガキ)に自ら「生存申立」の署名をして返信することにより(自ら署名することが困難な方にあっては代理人)引き続き年金を受け取れる方式を採り入れ、平成10年1月から実施することができました。

 この経験から学んだことは、相手の立場に立って物事を考えるということです。机上だけで考えるのではなく、年金受給者という高齢者の立場に立ったからこそ、生存証明の廃止が実現できたものと思っています。

 私は、保険医療機関等及び保険医等に対する指導等を担当する立場にあります。中国5県の行政と医師会・歯科医師会・薬剤師会等の関係団体の方々と協力しながら、「国民皆保険制度」を維持し発展させ、国民の皆様にどうすれば良質な医療を提供していけるかという、国民の皆様の立場に立って行政指導等を行っていきたいと思います。

特集  「ねんきん月間」と「国民年金保険料の後納制度」のお知らせ

年金管理課 山本 忠幸

「ねんきん月間」のお知らせ

◆厚生労働省は日本年金機構と協力して、11月を「ねんきん月間」と位置づけ、公的年金制度の普及・啓発活動を展開します。
  1. 「ねんきん月間」の趣旨は?
    • 国民の皆様に公的年金制度を身近に感じていただき、公的年金制度に対する理解を深めていただくことを目的としています。
  2. 「ねんきん月間」の活動内容は?
    • 全国各地の様々な場所で、年金事務所職員などによる出張年金相談を行います。
    • また、公的年金制度の意義や、年金制度と国民の皆様方との結びつきなどについて一緒に考えていただくため、年金制度との関わりについてのエッセイを広く募集しました。優秀作品等は日本年金機構のホームページ(「わたしと年金」エッセイ審査結果について)(外部サイトへリンク)をご覧ください。
◆中国管内の日本年金機構が実施を予定している「ねんきん月間」の主な取組みは次のとおりです。

広島駅南口地下広場(エールエール地下広場)

出張年金相談のようす
出張年金相談のようす

  1. 次の場所で出張年金相談を行います。
    ① 市町村
    【鳥取県】ハローワーク鳥取、岩美町中央公民館
    【岡山県】備前市吉永地域公民館、赤磐市産業会館、瀬戸内市役所など
    【広島県】広島駅南口地下広場(エールエール地下広場)など
    【山口県】光市役所、下松市役所、田布施町役場など
    ② また、老人保健施設でも出張年金相談を実施します。
    ③ 大学や専修学校などの校内においては、出張年金相談に加え学生納付特例制度の周知を実施します。
    【鳥取県】鳥取大学、鳥取環境大学など
    【島根県】松江総合ビジネスカレッジ、山陰中央専門大学校、松江理容美容専門学校など
    【岡山県】岡山大学、倉敷芸術科学大学、就実大学など
    【広島県】広島市立大学、広島経済大学など
    【山口県】宇部フロンティア大学、宇部東京理科大学など
    ※ お近くの年金事務所等で行っている取組み(相談会等)は日本年金機構のホームページをご覧ください。
  2. また、中国四国厚生局では、学生等の年金受給権の確保を図る観点から、管内の大学・短期大学、専修学校、各種学校に対して、学生納付特例制度の周知について協力依頼を行っています。また、学生等が市町村役場に出向かなくても、通学する学校等を通じて学生納付特例の申請をすることができる「学生納付特例事務法人」としての指定への協力依頼を未指定の各種学校に行っています。
    ※ 学生納付特例制度の詳細については日本年金機構のホームページ(学生納付特例制度)をご覧ください。
◆この機会に、年金について考えていただき、公的年金制度の趣旨やしくみについてご理解いただきますようお願いします。

 公的年金制度は、社会保険の仕組みであり、やがて訪れる長い老後や、もしも障害になったときなどの生活の安定を損なうような“万が一”の事態に備え、保険料を出し合ってお互いを支え合う制度です。その財源は、保険料や国庫負担(税金)から成り立っています。

 日本は世界でも類を見ない長寿国となっていますが、この長い老後生活を世代間の支え合いの仕組みを通じて経済面から支えるのが、公的年金制度です。
 「平成22年公的年金加入状況等調査」によると、50歳以上の年齢層では公的年金を90%の方が老後の収入として見込んでいると回答しています。
 また、「平成23年国民生活基礎調査」によると、年金が高齢者世帯の収入の約7割を占めています。
 このように、公的年金は老後の生活にとってなくてはならない大切な制度です。

  • 保険料を納めないまま放置すると、将来、老齢基礎年金を受け取ることができなくなったり、いざというときの障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることができない場合がありますので、必ず保険料を納めましょう。
  • 所得が少ないなど、保険料を納めるのが難しい方は、ご本人の申請手続きによって保険料の納付が免除または猶予される制度があります。
    ※ 保険料納付の免除または猶予制度の利用を希望される方は、お近くの年金事務所またはお住まいの市(区)役所または町村役場(国民年金担当窓口)までお問い合わせください。

国民年金保険料の後納制度のお知らせ

平成24年10月1日から国民年金保険料の後納制度が始まりました

 過去10年間に納め忘れた国民年金保険料はありませんか?~平成24年10月1日から国民年金保険料の後納制度が始まりました~

  1. 後納制度とは、時効により納めることができない期間の国民年金保険料について、平成24年10月から平成27年9月までの3年間に限り、過去10年分まで納めることができる制度です。
  2. 後納制度を利用することで、年金額が増えたり、納付した期間が不足して年金を受給できなかった方が年金を受給できるようになる場合があります。
  3. 国民年金を受給するためには、保険料を納めた期間や保険料の免除又は猶予などの期間の合計が原則25年(300月)必要ですが、平成27年10月以降は、10年(120月)に短縮される予定です(この受給資格期間の短縮は、消費税の改正に合わせて、実施が予定されています)。

※ 詳しくは、日本年金機構のホームページをご覧ください。

各課からのメッセージ  保険医療の質的向上と適正化を目指して~第5回~

山口事務所 関谷康久・職員一同

自然の造形・秋芳洞の百枚皿
自然の造形・秋芳洞の百枚皿

ライトアップされた瑠璃光寺の五重塔
ライトアップされた瑠璃光寺の五重塔

 今回は、中国四国厚生局山口事務所からのお知らせです。
 山口県は三方を海に囲まれた本州最西端の県です。気候は概して温暖で、風水害や地震も比較的少なく住み良い県といわれています。平成24年9月時点で約143万人の県民が暮らしています。 県内には、大内氏や毛利氏、明治維新の志士たちが刻んだ歴史や文化にちなんだ観光スポットが多く存在し、また、我が国最大のカルスト台地と鍾乳洞を持つ「秋吉台(あきよしだい)国定公園」などの景勝地も多数点在するため、毎年たくさんの観光客の方が訪れています。

ー受診や投薬の際の留意点—

 シリーズ第5回目となる今回は、「受診や投薬の際の留意点(患者の皆様へ)」と題して、患者の皆様が病院や診療所を受診されたり、薬局で薬を受け取られる際の留意点について、保険医療機関等(病院、診療所、保険薬局)の指導を行った際に気付いたことなどを交えながらお知らせしたいと思います。

  • 受診するときは
     病気になった時には、私たちは自分の意思で病院・診療所を選び受診していますが、皆様は、病院や診療所を受診する際、どのような点に気をつけておられますか。
     先ず、被保険者証(いわゆる保険証)を持っていくことが必要です。他の病院、診療所からの紹介状があればそれも必要ですし、各種医療に関する受給証等も忘れないようにしなければなりません。また、服薬中の薬がわかるように、お薬手帳の準備もお願いします。
     支払いの準備も必要ですね。被保険者証を提出された場合の一部負担金は、皆さんが加入されている制度などに応じて、治療に要した費用の3割負担、2割負担、1割負担など負担割合が決まっています。
     一部負担金とは別に、大きい病院(一般病床200床以上)を受診した際、診療所との機能分担の観点から、他の医療機関等からの紹介なしに当該病院に直接受診した場合は、初診時に特別な費用を求められることもありますので覚えておいてください。
  • 医師とよく相談してください
     病院の初診時の費用の問い合わせ等、当事務所へはいろいろな電話があり、中には、医療機関の対応が不親切だとの相談があったことがあります。内容を詳しく聞いてみますと「毎日通院して治療を受けたいのに、医師は1週間に1回程度でよいということが不満だ。」と言われるのですが、医師は医学的判断に基づき、患者さんに一番良い方法で治療しますから、場合によっては必要のない検査や処置などを行っていないということも考えられます。
     診療内容は患者さんの病状などで大きく異なりますので、診療でご不満や疑問を感じた時は、まず医師に説明を求めていただくのがよいと思われます。
     また、時間がないからといって「薬だけをください」など、診察を受けることなく薬だけをもらって帰ることはできません。医師は、診察をすることにより、その時に最も適した薬を出すことができますので、必ず診察を受けてください。
     そして、受診される時には、現在服用している薬について市販薬(一般用医薬品)を含めて、医師に伝えてください。同一の効能・効果の薬を定められた量以上に飲んだり、飲み合わせの悪い薬を飲んだりすることの無いよう、効果的な飲み方をしていただくようお願いします。
  • 「ジェネリック医薬品」について
     後発医薬品(ジェネリック医薬品)ということを、最近、よく耳にするようになりました。
     後発医薬品は、先発医薬品に比べて薬価が安いにもかかわらず、有効成分は先発医薬品と変わりません。後発医薬品の使用を促進することによって、(1)患者さんの薬剤費の自己負担を軽減し、(2)医療の質を落とすことなく、医療費の削減を図ることが可能となります。
     医師は、「後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者に後発医薬品を選択する機会を提供すること等患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない。」とされています。また、患者さんは後発医薬品を希望できますので、診察時に医師と相談してください。
  • 保険薬局では
     病院、診療所で投薬されないときは、保険薬局で薬を受け取るように、処方せんが発行されます。
     処方せんは、交付日を含めて4日以内に保険薬局へお出しください。その期間を過ぎると、有効期限が記載してある処方せん以外は、無効になりますので注意して下さい。
     保険薬局では、薬の名前や効果、副作用、あるいは薬の保管方法などを説明してくれますので、よく聞きましょう。
     処方せんが、一般的な名称(一般名処方)で書かれている場合や、先発医薬品の名称書かれていても「変更不可」というチェック欄に医師の署名がなければ、後発医薬品を選ぶことができますので、薬剤師と相談してください。
     また、「お薬手帳」をお持ちの方は、処方せんと一緒に、お薬手帳も提出しましょう。複数の医療機関から処方されている場合も、薬剤師が薬学的観点から必要な指導・管理をしてくれます。もらう薬がお薬手帳に記載してあれば、病院などを受診した時に説明することもできます。
  • 領収証や明細書について
     保険医療機関等(病院、診療所や薬局)で一部負担金などを支払った際は、その領収証は無償で発行されることになっています。また、計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を無償で発行しなければなりません。領収証や明細書を確認することで診療や調剤の内容を詳しく知ることができます。これの内容についても、疑問な点は、まずはその場でお尋ねいただくようお願いします。そのうえで不明なところがありましたら、遠慮なく各事務所等へお問い合わせください。

 中国5県の事務所が順にお知らせしてきました「保険医療の質的向上と適正化を目指して」は今回で一巡しました。
 各事務所からお知らせさせていただいた内容や、各事務所に対する意見などをお待ちしています。

ごあいさつ  「せんだん通信」1周年に寄せて

局長 川尻 良夫

この翌日、丸坊主になりました…
この翌日、丸坊主になりました…

 創刊号にも書きましたが、本通信の発行は私自身の「地域」へのこだわりから発したもので、執筆や編集を担当させられた職員には、当初戸惑いや負担感が少なくなかったと思います。毎月初めを目指していた発行は、最初のうち遅れ気味でした。名称は悩んだ末に、厚生局が入る合同庁舎4号館前の並木にちなんで「せんだん通信」としたのですが、創刊号を出す数日前に、そのせんだんの木々が剪定され、丸坊主状態になってしまうという「事件」もありました。
 このように本通信の「船出」は必ずしも順調とはいえなかったのですが、回を重ねるに連れて、自分の言葉で表現することを楽しみにする職員や、日頃の公文書とは違う観点から編集する面白さを発見する職員、更には本通信に載せるために写真を撮りに行く職員が増えるなど、徐々に雰囲気が変わってきました。それと並行して、手前味噌かも知れませんが、各記事のオリジナリティが高まり、読み易くなってきたように思います。せんだんの木々にも葉が繁り、毎月5日発行が定着しました。
 最近私が少々心配しているのは、マンネリ化の兆しがあることです。各課・各事務所の仕事内容の紹介や若手職員のメッセージがそろそろ一巡しますが、執筆に当たって既存号の内容やスタイルを参考にするせいか、やや新鮮味が薄れてきている印象があります。
 このため、もう一歩「地域」に近づく工夫ができないかと考えているところです。ちょっと大げさかも知れませんが、名付けて「アウトリーチ作戦」。
 今まで本通信では、自分たちが書きたいこと・書き易いことを中心に記事にしてきましたが、今後は読者である地域の住民や団体の側から見て、私たち厚生局の仕事のどんなところに興味や関心が高いのかを考え、そのことに関する分かり易い解説を試みたり、こちらから出掛けていって地域の取組を取材し、紹介するような仕掛けも考えていきたいと思っています。
 2年目に入る「せんだん通信」に乞うご期待。

あとがき

弥山(宮島)から広島市街地を望む
弥山(宮島)から広島市街地を望む

 英語で秋を”fall”と言いますが、”fall of the leaf”が語源だそうです。秋のイメージを単語でうまく表していると思います。
 広島名物の「もみじ」は流石に紅くは染まりませんが、本物の「紅葉」が徐々に秋の青空に映えてきています。
 さて、昨年の紅葉の季節に創刊した「せんだん通信」は、おかげさまで1周年を迎えることができました。今後も、読者の皆様に中国四国厚生局をより身近に、そして四季の移ろいを感じていただけるよう、内容の充実に努めていきたいと思います。
 引き続きご愛読くださるよう、よろしくお願い申し上げます。 (M.N.)

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コスモスも満開です

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