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更新日:2017年11月16日

せんだん通信 -中国四国厚生局だより平成25年3月号 (平成25年3月8日発行)

【目次】

節分

巻頭言 組織的な対応の大切さ

健康福祉部長 菱川 隆夫

 3月を迎え、この時期は4月の入学・入社に胸をときめかしながら準備をされている方、また、国をはじめとする行政機関はもとより年度が事業単位である事業所や施設などでは何かと慌ただしく過ごされているのではないかと思います。
 中国四国厚生局におきましても、組織として年度当初に掲げた目標に対し、今年度の運営状況などを振り返り、特に不十分であったり、うまく対応できなかったものは、いろいろな角度から要因分析し、それを踏まえて新年度に向けた新たな組織目標などを樹立し、確実に遂行していくこととしています。

 最近、生活保護制度について芸能人の親族に対する扶養問題に端を発し、新聞やニュースなどで生活保護基準の見直しなどの問題がクローズアップされることが多く、国においても審議会などで議論され、この通常国会に生活困窮者支援の新法案が提出される予定となっていますので、今回はこの関係についてふれてみたいと思います。
 生活保護受給者はリーマン・ショック以降、長引く不況などにより約214万人(平成24年10月時点)に急増し、過去最高を更新し続け、これに伴い、給付費は平成24年度予算で約2兆8千億円(地方分を合わせ約3兆7千億円)と巨額になっています。

 かつて私は生活保護業務に数年携わったことがありますが、その中で全国の福祉事務所にお伺いし、保護の決定・実施状況を確認する監査業務も経験させていただいたことがあります。
 その時の記憶をたどりますと、福祉事務所の組織は規模に若干の違いはあるものの一般的に所長、査察指導員(※1)、ケースワーカー(※2)から構成されています。

(※1)査察指導員とは、社会福祉法に定められた職名で、ケースワーカーに対し、指導監督として専門的助言、業務の進行管理、職員管理などを行う職員です。

(※2)ケースワーカーとは、福祉事務所で生活保護の相談などに応じるとともに、生活保護を受けている人に対してきめ細かな指導援助を行う職員(地方公務員)をいいます。

 指導監査業務では、最初に組織として事務所運営に当たり、どのような取り決めがなされ、それをどのように査察指導員やケースワーカーに周知し、実践しているかという視点でヒアリングを行い、その後、ケース検討を通じて実際の事務処理状況がそのとおり実施されているか否かを検証します。
 例えば、就労支援ということでいえば、就労が可能な被保護者に対してほとんどのケースワーカーが定期的に指導援助を行っていないという事務所がありました。
 このような場合には、個々のケースワーカーに改善を促すとともに、組織の管理者である所長に対しても強力に適切な事務所運営の確保をお願いいたしました。

三矢の訓の碑(安芸高田市)
三矢の訓の碑(安芸高田市)

 福祉事務所においては、組織的な対応がとても重要であり、まさに事務所運営を左右するといっても過言ではありません。また、これはどの行政機関にもいえることだと思います。
 これに関し、ふと中国地方で有名な戦国時代の最高の謀略家といわれる毛利元就のことを思い出しました。彼が一族の結束の重要性を繰り返し息子たちに説いていた「三矢の訓」はあまりにも有名です。(なお、これは作り話で、毛利元就が息子に宛てて兄弟力を合わせるよう説いた書状があり、脚色されたものと言われています。)

 このように当たり前のことがなかなかできないことを今まで数多く目にしてきた経験から、個々で対応するには困難や問題があっても、組織的に対応することで乗り切れることが多いことを今一度認識し、今後の厚生局の業務運営にも反映していかなければならないと考えています。

特集 民生委員・児童委員の活動状況等の紹介~第3回~

健康福祉課 山田 聖美

 この特集では、管内の民生委員・児童委員の方々やその団体の活動を紹介していきます。

【安佐南区中筋地区民生委員児童委員協議会(広島市)の活動状況】

 今号では、広島市安佐南区の中筋地区の「民生委員・児童委員協議会」(以下、「民児協」という。)の活動状況についてご紹介いたします。

※民生委員・児童委員の概要、また、民児協については、せんだん通信12月号特集(2)の「民生委員・児童委員の活動状況等の紹介~第1回~」をご覧ください。

【中筋地区民児協の概要について】

 中筋地区は、広島市のほぼ中央にある安佐南区の東部に位置しています。バスターミナル、山陽自動車道のインターチェンジ、広島高速交通(通称:アストラムライン)の駅などを有し、広島市の交通の要所となっており、比較的若い世帯も多く活気あふれる地域です。広島市の民児協は基本的に1つの小学校区ごとに設置されています。しかし、中筋地区民児協は、一時の大幅な児童数の増加により、中筋学区と東野学区の2つの小学校区で活動しています。地区内の世帯数は7,722世帯(平成24年9月末現在)で、20名の民生委員・児童委員が活躍されています。
 中筋地区民児協は、小・中学校と連携した広島菜(広島特産の主に漬け物として食される野菜)作り体験事業、高齢者を対象とした交流事業、高齢者と子どもたちの交流を目的とした各種行事への積極的な取り組みなど、地域に密着した活動が評価され、優良活動団体として、平成24年度に厚生労働大臣より表彰されました。
 今号と次号において、中筋地区民児協の学校連携事業と高齢者福祉事業の具体的な活動をそれぞれ紹介していきます。

 今号では、学校連携事業について、中筋地区民児協の宮本会長と中川副会長からのお話を交えて紹介します。

1.中筋地区民児協の学校連携事業

 90年代の新興住宅地である中筋地区では他と比べて若い世帯が多く、子どもも多いので、子どもたちが小さな頃から地域に愛着を持つように、様々な世代間の交流を活発にするための事業が数多く行われています。中川副会長も「小・中学校との連携事業など、地域と密着した事業を特に大事にしている」と言われていました。
 中でも、核家族が多く、近くに祖父母がいない子どもも少なくない中筋・東野地区では、「疑似祖父母」として、子どもたちと高齢者がふれ合う機会が大事にされています。例えば、幼稚園でのひな祭り等のイベントの折々には民生委員・児童委員が働きかけて、高齢者と子どもたちがふれあう場を作っておられます。

中川副会長(左)と宮本会長(右)

中川副会長(左)と宮本会長(右)

 また、小学校では野菜収穫体験や広島菜作り体験を、中学校では農家での5日間の「体験就農」が行われていますが、これらの農業体験事業では、民生委員・児童委員が毎週学校に行って担当教員と情報交換を行うなど、学校と密に連携しながら続けられています。
 特に、小学3年生が行う広島菜作り体験事業では、学習計画の作成段階から民生委員・児童委員が関わり、小学校3年生の生徒に対して土づくりや種まき、収穫、漬物作りまで年間を通して体験させ、地域の産物について、いつが旬なのか、どのような調理をすればよいのかなどの理解が深まるよう協力をしておられます。
 中川副会長によれば、「いつもは仕事で帰りが遅い父親が、今日は学校から持って帰った広島菜があるよというと、早く帰ってきてくれたと生徒が話してくれるなど、嬉しいエピソードもあった」とのことです。
 この事業の優れている点は、地域の人とのふれあいの場として機能するのはもちろんのこと、自分で収穫した野菜を食べることで野菜を美味しく食べられるようになるという食育にも貢献しているところだと思います。中川副会長のお話のように、この事業は、子どもたちだけにとどまらず、食育を通じて、地域全体にもプラスの影響を与えていると考えられます。

2.地域を支える人々

 このように地域に密着した活動が成果を上げている中筋地区民児協ですが、かつては管内の中学校の風紀が乱れ、子どもたちの健やかな育成が阻害される状況にあったそうです。中川副会長は「時間内に登校して来ない生徒がいたり、学校に行かずにふらふらしている生徒もいるという状況に、民児協は危機感を抱いた」と言われていました。そこで、中筋地区民児協は幼稚園、小学校、中学校とそれぞれ連携した活動に力を入れるようになり、毎週、中学校の校門の前で挨拶運動を民生委員・児童委員自らが立って行うなど、とにかく地域の人たちと子どもたちが関わる機会を増やす努力を行ってこられました。
 このように、幼少の頃から子どもたちと地域の活動で関わり、子どもたちが大きくなっても地域で見かけたら声をかけやすい環境を徐々に整えていった結果、中学校は区内でも評判の良い学校と言われるまでになったということです。

 もちろん、これらの活動は民生委員・児童委員だけの努力で行われていったものではありません。民児協の他にも、社会福祉協議会や青少年健全育成連絡協議会、防犯組合など、様々な地域団体や地域の方々との協力・連携があって、初めて成し遂げられたものです。中筋地区では、民生委員・児童委員の職と、他の協議会の役職を兼ねている方も多く、実際に、宮本会長、中川副会長は、学区社会福祉協議会の理事や青少年健全育成連絡協議会の役員等を兼職されています。さらに、自分たちの地域をより住みよいものにしていこうという地域の方々の自発的な気概こそが、住みよい地域を形成しているのではないでしょうか。地域の方々が主体となって福祉事業を支えている様子は、次号でご紹介する、「すみれ会」という高齢者の親睦会においても見られました。

 次号では、「すみれ会」の取材を通じて、実際に民生委員・児童委員が活動している様子を紹介します。

各課からのメッセージ 球春到来!私たちは福祉などのサービスを提供する人材確保の取り組みに全力投球中です!

指導養成課 内藤 久義

 いよいよ球春到来です。3月に入り、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)やプロ野球オープン戦が始まりました。そして下旬にはセンバツ高校野球、プロ野球ペナントレースが開幕します。

 さて、今回の各課からのメッセージでは、指導養成課から、皆さまの健康で安心できる生活を支えるために必要な医療、福祉などのサービスを提供する、①人材養成の取組の重要性、②その取組の現状を簡単にご説明させていただきます。

1.なぜ今、医療・福祉などの人材確保対策が重要なの?

 「5万1,376人」?
 皆さんは、何の数字かご存じですか?これは、全国の百歳以上の高齢者数で、ちなみに中国地方5県では4,574人です。(平成24年9月1日現在)
 例えるなら、広島東洋カープのホームグラウンドである広島マツダスタジアム球場の収容人員の倍近い百歳以上の高齢者が全国におられるということです。

 また、全国の65歳以上の高齢者数は昨年末で約3,100万人となっており、いわゆる団塊の世代(※1)が75歳以上の高齢者となる2025年(平成37年)には、65歳以上の高齢者人口の総人口に占める割合が3割を超え、2055年(平成67年)の高齢化率は現在の2倍(約4割)になることが予想されています。

 一方で今年の新成人の人口は約122万人(平成25年1月1日現在)で総人口に占める割合は1%を割り込み30年前の半数程度となっており、昨年の出生数(見込み)にいたっては約103万人となっています。
 <※1>1947年(昭和22年)から1949年(昭和24年)までの3年間に出生した世代

 このような少子高齢化の急速な進行に加え、世帯構成の変化、国民のライフスタイルの多様化などにより、医療や介護などの各種サービスの必要量が増大しているだけでなく、ニーズが多様化、高度化している状況です。
 これらの医療・福祉などのニーズに対応する人材はすぐには養成できませんし、また、今後生産年齢人口(15~64歳)が減少し、全産業的に労働力の確保が困難となっていくことが見込まれる中で、限られた労働力の中から、国民のニーズに的確に対応できる人材を質・数の両面において安定的に確保していくことが喫緊の課題となっています。

2.具体的な人材確保の取り組み状況はどうなの?

 具体的には、例えば、介護サービスの担い手で見た場合、必要な介護職員数は今後倍増すると見込まれています。

 もちろん、高齢者に関するマンパワーの確保だけでなく、待機児童(※2)を解消するための子ども・子育て支援の充実などに必要なマンパワーの確保も喫緊の課題です。0
 <※2>保育所入所申請をしているにもかかわらず、希望する保 育所が満員である等の理由で保育所に入所できない状態にある児童

 このようなことから、近年、社会的役割が益々重要になっているのが、保育士、介護福祉士(※3)、看護師などの人材を養成している養成施設(※4)です。
 <※3>日常生活を営む上で支障がある人に対して、専門的知識や技術をもって心身の状況に応じた介護を行うことを主な仕事にしている者を言います。名称独占の資格で、全国の登録者数は約109万人です。
 <※4>介護福祉士や保育士、看護師などの人材を養成する大学や短大、専門学校などのことをいいます。


※今後、急速に少子高齢化が進んでいく中で、各世帯の家族構成や生活スタイルの変化により、介護サービスの需要がさらに高まり、それに見合う介護職員が必要となると考えられます。

 指導養成課では、これらの養成施設の指定や指導監督の業務を行っています。

 それでは、中国地方における人材養成の現状の一例として、今回は保育士養成の概況をご紹介します。

◆ 保育士を養成する保育士養成施設の入学定員数の状況について

○ 保育士養成施設の入学定員数は全国で約5.5万人、中国地方5県では約3千名の入学定員数を確保しており、6歳未満人口1万人に対する入学定員数でみた場合では、中国地方は全国平均(約87名)とほぼ同等の水準(約85名)となっています。

 上記のような直接的な人材養成の取り組みに加えて、

  • 多様な人材の参入促進対策(修学資金貸付事業や離職者訓練の実施など)、
  • 人材育成による資質の向上と定着促進(現任職員の資質向上のための研修受講の支援事業など)、
  • 処遇の改善と魅力ある職場づくり(労働環境の改善を支援する事業など)

 といった人材の確保や質の向上を図るための各種取り組みを国、地方自治体、養成施設など、関係者が連携して行っているところです。

 私どもでは、各種養成施設の指定や指導監督業務を通じて、皆さまの健康で安心できる生活を支えるために必要な医療、福祉などのサービスを提供するための良質な人材の確保に向けた養成が行われるよう、養成施設を全力投球でサポートしています。
 今回ご紹介した医療・福祉などのサービスを提供する専門職で活躍したい方をはじめ、興味を持たれた方は、遠慮なく指導養成課(電話082-223-8229)までご連絡下さい。

あとがき


梅の季節。もうすぐ春です。

 『♪春一番が掃除したてのサッシの窓に』で始まる、1970年代のアイドルグループ「キャンディーズ」が歌った名曲「微笑がえし」(1978年)は、思わず口ずさみたくなるとても軽快なメロディーですが、それとは裏腹に、歌詞のテーマは「別れ」。3月は別れ、旅立ちの季節です。
 皆さんの職場やお住まいのまわりでも、親しい人との別れや旅立ちがあることでしょう。ご多分に漏れず、私の職場も、退職や転勤があります。
 「一期一会」は私の好きな言葉ですが、3月は、この言葉が一層身にしみます。 (M.N.)

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