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更新日:2017年11月16日

せんだん通信 - 中国四国厚生局だより平成25年6月号(平成25年6月3日発行)

【目次】

 

あじさいの花の写真

巻頭言:薬物再乱用防止対策について

麻薬取締部長 前木秀治

 月日が経つのは早いもので、昨年4月単身広島に着任してから既に1年と2か月が経ちました。寒さの苦手な私はこれまでの数か月間、週末といえば宿舎にこもりがちで、運動不足からいつの間にかメタボ体型に...。そんな訳で鈍った体にむちを打ち、久しぶりに宿舎から宮島口までの往復約30 kmのサイクリングを行いました。疾風のごとくとは申しませんが、早朝の爽やかな風を全身に受けながら1時間半ほどで走り切ることが出来ました。多少の筋肉痛は残ったものの非常に心地良い達成感に浸り、何だか得をしたような気分になりました。

 さて、「麻薬取締官の仕事に達成感が得られるのはどのような時ですか?」と尋ねられることがあります。その時、私は決まって「担当した被疑者が、服役後や裁判で執行猶予判決を受けた後に直接私を訪ねてきて『その節は大変お世話になりました。もう二度と薬物には手を出しません。』と、お礼と誓いの言葉を語った時です。」と答えます。その言葉を聞くと心底嬉しく、涙さえ出ることがあります。
 ですから、その舌の根の乾かぬうちに再び薬物に手を出し逮捕されたことを知った時程、悲しく残念なことはないのです。麻薬取締官の職に就いて既に33年、これまで幾度となく、そのような悲しく残念な思いをしてきました。
 覚醒剤等違法薬物を乱用した者は、逮捕され身柄を拘束されている間、一時的に乱用を止めても、その後自由の身になると乱用を繰り返す割合が高いのです。
 そのことは、近年我が国の全薬物事犯中、覚醒剤事犯が約8割を占め、その再犯率が6割近くとなっていることからも明らかであり、薬物乱用撲滅のためには再乱用防止対策が重要な課題となっているのです。
 そのような状況の下、私達麻薬取締部は平成23年8月から、検挙した覚醒剤等薬物乱用者の中で、刑務所や保護観察所にて所定の再乱用防止プログラムを受ける機会のない者に対し、独自学習用に開発されたテキストにより学習させた上、面接や電話による生活習慣改善指導を行うという取り組みを始めました。
 私達が指導する対象者は、裁判の結果保護観察処分のない執行猶予判決を受けた者で通常初犯者が多く、中にはたった1度の過ちで薬物を乱用した者もおり、再乱用防止教育の効果が最も期待できると思われる人達です。その一方で、乱用者を抱える家族の不安や悩みを軽減させるため、対象者の家族に対しても積極的に面接等による指導を行っております。さらに、薬物再乱用の誘因となる対象者周辺の密売人等関係者を徹底的に検挙する等、環境浄化も行っているのです。
 そのように私達も再乱用防止対策の一端を担うべく取り組みを始めたところですが、乱用を止めるためには、乱用者に対し教育や指導はもとより、薬物依存症等にかかる治療も必要ではないかとも言われております。恐らく、幾度となく乱用を繰り返す者は、自らの力だけで乱用を止めることは難しく、強制的に薬物依存等の治療を施す以外、方法はないのかも知れません。また、せっかく乱用を止めた者が生活苦等から元の薬漬けの生活に戻らないように、普通に暮らすための就労支援も当然必要でしょう。
 このように薬物再乱用防止対策には、乱用者に対する教育や指導、薬物入手先の徹底検挙の外、薬物依存症等の治療や就労支援等社会復帰のための取り組みを総合的に実施していくことが必要なのです。
 私達は今後とも、中国地区管内の精神保健福祉センター、医療機関、民間自助グループ等関係機関との連携を推し進め、さらなる再乱用防止対策の充実に取り組んでまいります。

覚せい剤事犯検挙人員における年次別再犯者数統計表平成19年から平成23年まで 左表のコメント

 

特集:平成25年度「ダメ。ゼッタイ。」普及運動の実施について

麻薬取締部 坂井大樹

1.目的
 「ダメ。ゼッタイ。」普及運動は、薬物乱用根絶の2019年までの達成を目標として、国や都道府県と民間が協力し、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるとともに、国連総会決議に基づく「6.26国際麻薬乱用撲滅デー」(6月26日)を広く国民に知ってもらい、国内外における薬物乱用の防止を目指して行われるものです。

2.実施内容
 期間中に、中国四国厚生局を始め管内各県庁、保健所やご後援をいただいています関係団体施設などにポスターを掲示するほか、リーフレット等を配布して広報啓発を行います。
 「ダメ。ゼッタイ。」普及運動に関する詳しい情報については、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターホームページをご覧ください。

3.実施期間
平成25年6月20日から7月19日までの1か月間

4.「ダメ。ゼッタイ。」国連支援募金運動について
 「ダメ。ゼッタイ。」国連支援募金運動は、1993年からスタートした「ダメ。ゼッタイ。」普及運動にあわせて薬物乱用のない社会環境づくりのために実施されており、国連を通じて開発途上国等で薬物乱用防止活動を行っている民間団体(NGO)のプロジェクトの活動を支援しています。募金箱は、中国四国厚生局のほかこの運動にご後援をいただいています関係団体施設などに置いてありますので、皆さまにはご協力をお願いします。

5.平成25年度広島県「ダメ。ゼッタイ。」6.26ヤング街頭キャンペーンについて
 広島市内では、6月29日(土)に、広島県「ダメ。ゼッタイ。」普及運動実行委員会主催の『平成25年度広島県「ダメ。ゼッタイ。」626ヤング街頭キャンペーン』が開催されます。
(1)開催日時
  平成25年6月29日(土)午後2時00分から午後4時00分まで
(2)実施場所
  広島駅南口地下広場及び広島駅前広場(南口)
(3)主な内容
①広島市立基町高等学校の吹奏楽演奏
  (広島駅南口地下 イベント広場)
②薬物乱用防止啓発用パンフレット、ポケットティッシュ及び絆創膏などの配布
  (広島駅南口地下広場及び広島駅前広場(南口))
③「ダメ。ゼッタイ。」国連支援募金の実施
  (広島駅南口地下広場)
※詳しい情報は、広島県ホームページをご覧ください。

ダメ。ゼッタイ 国連支援募金箱の写真
 

(国連支援募金箱です。ご協力をお願いします。)

各課からのメッセージ:保険医療機関を受診された皆さまへ ~領収書と診療明細書を確認されていますか~

指導監査課 上山明輝

 幸せで充実した毎日を過ごすためには、健康が第一です。
 しかし、多くの方におかれては、期もせず体調を崩すこととなり、病院や診療所等を受診することとなったという経験をお持ちであろうと思います。
 保険医療機関や保険薬局において、健康保険等で治療や調剤を受けた場合は、その治療費などの一部負担金を支払うこととなっていますが、保険医療機関・保険薬局は、皆さまから一部負担金等を受領した場合には、基本的に、医療費の内容の分かる領収証、医療費の計算の基礎となった項目ごとに記載した診療明細書を無償で交付するよう義務づけられています。
 今回は、この「領収証」、「診療明細書」について、説明させていただき、どのような治療が行われているかについて、理解を深めていただきたいと思います。

1.まず、領収証について説明します。
 領収証は、保険医療に要した費用と保険では請求できない保険外の費用について、「初・再診料」、「医学管理等」、「検査」、「画像診断」、「投薬」、「処置」等に区分した内訳を記載したもので、一部負担金等を領収したことを証明するものです。
 領収証では、各区分係る保険点数の合計が記載されるため、皆さまが受けた治療内容を十分に確認することはできません。この、内訳を確認できるものが、次にお話しする診療明細書です。

領収証の様式例

                       領収証の様式例

 

診療明細書の記載例

             診療明細書の記載例

 

※上記「領収証の様式例」と「診療明細書の記載例」の内容は一例であり、本文の内容とは、一致しません。

2.それでは、診療明細書について説明いたします。
 診療明細書は、領収証に併せて交付されるものです。
 領収証に記載されている区分に照らし、診療明細書への記載内容の一例を説明しますと、「初・再診料」について、領収証に「初・再診料125点」と記載されている場合は、診療明細書には「再診料時間外対応加算2 明細書発行体制等加算73点 外来管理加算52点」などと、その内訳が詳しく記載されています。
 また、医師が患者様の診療を行う際に療養上の指導などを行っていることなどを評価して保険点数が決められている「医学管理等」についても、領収証に「医学管理等235点」と記載されている場合は、診療明細書では「特定疾患療養管理料225点 薬剤情報提供料10点」と、医学管理科の内容も明確に記載されています。
 さらに、「検査」については検査した項目、「注射」については注射液の種類や注射の手技料、「処置」については実際に行われた処置の項目に加えて、その所定点数と実施回数が明記されています。
 このように、診療明細書では、領収証ではわからなかった、診療を受けた内容と個別の診療報酬の点数等を確認することができます。

 保険医療機関等を受診された時には、領収証と診療明細書において治療内容等のご確認をしていただき、医療費への理解をさらに深めていただきたいと思います。
 なお、診療明細書には、投薬を受けた薬剤の名称、注射の種類、検査の内容等の重要な個人情報が記載されていますので、取り扱いには十分ご注意をお願いいたします。

あとがき

広島菓子博2013年会場入口の写真 広島市では92年ぶりに全国菓子大博覧会が開催され、80万人を超す入場者があり、賑わっておりましたが、皆さまは行かれたでしょうか。
 今年は例年より早く梅雨にはいりました。
 あじさいが色鮮やかに咲き、植物にとって恵みの雨でありますが、体調を崩しやすい時期でもありますので、十分注意してお過ごしください。(H.O)

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