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更新日:2017年11月16日

せんだん通信 - 中国四国厚生局だより平成25年8月号(平成25年8月2日発行)

【目次】

 

 巻頭言:健康寿命

健康福祉部長 塚本 明弘

 今年4月の人事異動により、広島に赴任してまいりました塚本と申します。
 広島で生活することは今回が初めてなのですが、10代の頃、函館に住んでいたことがあり、広島市と同様に路面電車が走っていたことや、もう30年以上も前になりますが、原爆被爆者対策の仕事を担当していたこともあり、当時は残念ながら広島を訪れる機会はありませんでしたが、基町や比治山といった地名を聞きますと懐かしく感じられるなど、以前から知っているような錯覚に陥る不思議な気持ちになります。
 さて、中国四国厚生局では職員の資質向上を目指して、月1回、局内の職員を対象とした研修会を実施しています。5月の研修会では広島県の佐々木健康福祉局長を講師にお迎えし「広島県の医療の将来像」について講演していただきました。
 その講演のなかで「健康寿命」のことについても触れていました。
 この「健康寿命」は、いまでこそ「健康日本21」などでも指標としてよく使われていますが、WHO(世界保健機関)が新しい寿命の指標の一つとして2000年に提唱したものです。
 講演をお聞きしていて思い出したことがありましたので、お話ししたいと思います。
 平成7年、私は老人保健福祉局で勤務しており、当時は「老人保健福祉審議会」で介護保険制度の構築のための審議を重ねていた時でした。
 当審議会の委員に水野肇(注1)先生がおられて、よく「PPK」ということばを言われておりました。
 いつの時か忘れましたが、先生に「PPK」とは何ですかとお尋ねしたところ、先生は「PPKとはピン・ピン・コロリのことだよ。ピン・ピン生きてコロリと死ぬ。これからの時代は平均寿命だけではなくPPKの生涯を目指す政策が大事だ。」とお答えになりました。
 WHOが「健康寿命」を提唱する数年前の話ですが、おそらく水野先生の考えの根底には、この「健康寿命」の概念があったのではないかと思っています。
 最近では健康寿命の状況について厚生労働科学研究で国民生活基礎調査と生命表を基礎情報として算定しており、平成22年にも2つの指標による数値が発表されています。
 1つは「日常生活に制限のない期間の平均」(注2)と、2つ目は「自分が健康であると自覚している期間の平均」(注3)となっています。
 このうち、日常生活に制限のない期間の平均を見てみますと、男性が70.42歳、女性が73.62歳となっており、男女とも伸びているところでありますが、同時に日常生活に制限のある期間の平均も伸びており、今後は健康寿命を延ばすとともに、制限のある期間の短縮化をいかに推進していくかの政策が求められていくことになるかと思いますし、国民の皆さまの意識も重要かと思います。
 是非、皆さまも「PPK」を目指して健康で長生きしていただきたいと思います。

(注1)岡山山陽新聞社の記者を勤め、後に独立して医事評論家として活躍。厚生省の各種審議会委員を歴任。
(注2)国民基礎調査の質問「あなたは現在、健康上の問題で日常生活に何か影響がありますか」に対する回答によるどちらかというと客観的な視点での指標
(注3)国民基礎調査の質問「あなたの現在の健康状態はいかがですか」に対する回答による主観的な視点の指標

 

日常生活に制限の

ない期間

健康であると自覚

している期間

 

全国

70.42

73.62

69.90

73.32

鳥取

70.04

73.24

69.67

72.67

島根

70.45

74.64

69.62

74.23

岡山

69.66

73.48

69.20

73.73

広島

70.22

72.49

68.97

72.59

山口

70.47

73.71

68.92

72.24

徳島

69.90

72.73

69.03

72.45

香川

69.86

72.76

69.27

72.86

愛媛

69.63

73.89

68.70

73.45

高知

69.12

73.11

68.64

71.92

(資料:厚生科学研究費補助金「健康寿命における将来
予測と生活習慣病対策の費用対効果に関する研究」)

特集:地域の中での居場所づくり NPO法人「もちもちの木」の取り組みのご紹介~第2回~

健康福祉課 山田 聖美

 前号に引き続き、広島市内で多様な事業を展開されているNPO法人「もちもちの木」(竹中庸子理事長)の活動について紹介いたします。

【子育て世代の支援について】
 「もちもちの木」は、高齢者を対象にした活動ばかりではありません。コミュニティ作りの一環として、子育て中の母親の交流会も開催しています。
 例えば、交流拠点の一つである「ふらっとホーム 河原町のおうち」(広島市中区河原町)では、“高齢出産のママの会”という、他の子育てコミュニティには属しにくい高齢出産の母親たちの集いを支援しています。
 この活動をコーディネートしている池口良子さんは「40歳前後の高齢出産のママたちは、平均的な子育て世代(20~30代)とは異なり、高齢出産特有の不安や悩みを抱えている場合が多く、そういった想いが共有できる顔の見える場が広島をはじめ全国的にないのが現状です。また、地方都市特有の事情として、転勤族の夫についてきた専業主婦という方も多く、地域に知り合いもいない中、自分の親は高齢となり応援を得にくいし、体力的な限界もあり家に引きこもっている高齢出産ママは少なくありません。私も高齢出産の一人で、妊娠中にこの会を立ち上げたんです。」と話してくださいました。

池口様と竹中理事長にお話を伺う様子の写真

池口様と竹中理事長にお話を伺う様子


 月に1回の定例会では、もちもちの木のスタッフとボランティアの方がつくってくださる手作りランチとおしゃべりを楽しみに、6年間で400組を超える母子が参加されました。
 時には、高齢出産を控えたお母さんたちの参加もあり、高齢出産のリスクや兄弟をもうける難しさ、親の介護と子育ての兼ね合い、ご主人の退職と子どもの学業、就職、結婚、更年期に伴う身体の不調などなど・・・ 高齢出産ならではの悩みを共有できるということで、広島市及び近郊の高齢出産のお母さんたちにとても好評を得ているとのことです。
 また、「古田のおうち」では、“古田のママの会”を主催しています。具体的には、毎月第2金曜日に親子ヨガやパパッと料理教室、母子で楽しむママランチ会等を開催し、デイサービスに来られている高齢者とのふれあいがさりげなく行われています。また、夏には、敷地内で子どもたちのためのプールを設置するなど、子育て支援の場であると同時に、世代交流・地域交流の場としてもつながる取り組みを行っています。このように、「もちもちの木」は、子育て世代の支援においても、居場所づくり・地域づくりを主眼に、多種多様な活動を展開されています。

【今後の活動の展開について】
 最後に、「もちもちの木」は今後どのように活動を展開していくご予定なのか、竹中理事長に伺いました。
 「これからは、暮らしを続けていく中での“看取り”、いわゆるホームホスピスに取り組んでいきたいです。」とのこと。また、「がん患者のための緩和ケア病棟を訪れた際に、緩和ケア病棟は確かにきれいで快適そうにみえましたが、「暮らし」がないように感じました。そのような静かで快適な場所でただ死が来るのを待っているのではなく、誰かが面白いことをすれば周りのみんなが笑っているような、生活のざわめきがある中で最後を迎えられる場所を作りたいと思うようになりました。」とおっしゃいました。
 このホームホスピスを実現するには、課題はまだあるそうですが、そのような施設をぜひ作って欲しいと希望されている地区の地域包括支援センター等の皆さんと話し合いながら、検討を進めておられます。
 日本全国において今後高齢社会がさらに進み、多死社会の到来が予想されています。現在は多くの方が病院で亡くなられているという現状がありますが、看取り先も今後は、病院、自宅、介護施設など多様化が想定されます。そんな時、家族の力だけによる自宅でのケア・看取りが難しくても、自宅のように「暮らし」があり、「つながりのある人々の生活のざわめきがある場所で、最後を迎えたい」と願う方や最後を迎えさせてあげたいと考えられている家族のための“居場所”がこれからますます必要とされてくるのだと感じました。
 地域の皆さんの「つながる場所」創りの支援に取り組んでおられる「もちもちの木」の益々の発展を願っています。

 今回の特集を通じて、皆様の「つながり」について再考するきっかけを提供できたならば幸いです。

特集:平成25年度医療安全ワークショップ・セミナーの開催について(お知らせ)

医事課 松元 由美

安全な医療を支えるコミュニケーション
 
伝えたい内容を確実に伝えることは、思いのほか難しいものです。
 医師や看護師などの医療チームから受ける説明には、初めて聞くような医学用語が含まれていることがあり、すぐに理解できないときがあります。一方、患者さん側からのお話には、治療に対する期待や不安が遠まわしな表現で含まれていることがあり、医療チームに伝わっていないときもあります。
 安全で安心な医療の提供には医療チームと、患者さんやご家族が十分に言葉を交わし、伝えたい内容をお互いに理解することが必要です。
 現在、「医療従事者と患者・家族との間のコミュニケーションを支援する」目的の下、「医療対話推進者」の育成がすすめられています。病院の相談窓口には、医療のコミュニケーションを支援するスタッフが配置されつつあり、安心・安全な医療の実現のため、患者さんやご家族がもつ疑問、不安、不満などを聴き、納得して医療を受けられるよう説明するなど、医療チームと患者さんの架け橋として活動しています。

医療安全ワークショップ・セミナーの開催について
 厚生労働省は毎年11月25日を含む1週間を『医療安全推進週間』と位置づけていますが、中国四国厚生局では、医療安全推進のための取り組みとして、医療安全ワークショップとセミナーを開催しています。

 医療安全ワークショップ(5日コース)では、医療機関で医療安全に取り組んでいる方を対象に、「医療機関の特性に応じた医療安全のあり方を考える~中小医療機関の安全管理体制を中心に~(仮)」をテーマにした研修を行います。
 演習を通して、医療事故事例を疑似体験しながら、事故発生時の対処方法、事故の分析、患者さんやご家族への説明等をどのように行っていくかについて考え、濃密な議論を交わしていきたいと思っています。

 医療安全セミナー(1日コース)では、『医療安全を支えるコミュニケーション(仮)』というテーマで講師の方々にお話し頂きます。医療従事者と患者さんやご家族との間の円滑なコミュニケーションをつくりあげるための施策や具体的な方法を知り、安全な医療を実現するためのコミュニケーションについて、参加者の皆さまと考えて参ります。

 医療安全は医療関係者だけでなく、医療を受ける皆さまとともに作り上げていくものだと考えています。医療関係者がどのように医療安全について考え、取り組んでいるかを知っていただく機会でもありますので、医療安全セミナーについては地域の方々もお気軽にご参加ください。

※8月1日より当局ホームページで告知しております。

  • 医療安全ワークショップ(5日コース)
    対象:中国5県の中小規模の医療機関(病床数300未満)において、医療安全管理体制の中心的役割を担う者または今後その任に当たる予定の者のうち、各県から推薦された者70名程度
    日時:第1クール:平成25年11月11日(月曜日)・12日(火曜日)
        第2クール:平成25年12月8日(日曜日)・9日(月曜日)・10日(火曜日)
    場所:第1クール:広島合同庁舎1号館附属棟2階大会議室(広島市中区上八丁堀6-30)
        第2クール:広島合同庁舎4号館2階共用第11会議室(広島市中区上八丁堀6-30)
  • 医療安全セミナー(1日コース)
    対象:医療従事者300名程度(事前登録が必要)
    日時:平成25年12月8日(日曜日)10時15分~16時00分
    場所:広島国際会議場・ヒマワリ(広島市中区中島町1-5)

各課からのメッセージ:保険医療機関等に関するQ&A~第1回~

鳥取事務所 西井 俊文

  この保険医療機関等に関するQ&Aシリーズでは、今回の8月号の鳥取事務所をはじめとして、11月号の島根事務所、12月号の岡山事務所、2月号の山口事務所の4回シリーズで保険医療機関や保険薬局等から各県事務所へご照会いただいた中からいくつかピックアップしてQ&A形式で掲載いたします。

Q1 新たに、検体検査管理加算(Ⅲ)の施設基準を届け出するため、常勤の保険医(保険薬剤師)を採用しようと思いますが、どのような手続きが必要でしょうか。

A1 検体検査管理加算(Ⅲ)の施設基準については、臨床検査を専ら担当する常勤医師1名以上が必要であるなど、人的要件等を満たす必要があります。今回、保険医の新規採用でこの要件を満たし、施設基準の届け出を行う際には、「特掲診療料の施設基準に係る届出書」に「当該施設基準に係る添付書類(所定様式)」を添付して届け出していただく必要があります。
 なお、施設基準の届け出が受理されると、届出受理日の翌月1日から(月の最初の開庁日に受理された場合は、当該月の1日)から、当該施設基準に係る診療報酬を算定することができます。
 また、保険医を採用された場合は「保険医療機関・保険薬局届出事項変更(異動)届」の提出が施設基準の届け出とは別に必要になります。
 提出の際には、新たに勤務することになった保険医(保険薬剤師)の保険医(保険薬剤師)登録票に記載されている記号及び番号を記入する必要がありますので、保険医(保険薬剤師)登録票のご確認をお願いいたします。(氏名は、戸籍簿に記載されている漢字を必ず用いてください。)
 なお、届出の提出がありませんと、採用された保険医(保険薬剤師)の診療(調剤)に係る診療(調剤)報酬の請求ができなくなりますので、速やかに提出をお願いいたします。

※施設基準の届出様式及び保険医療機関・保険薬局届出事項変更(異動)届や記入要領については、当局ホームページをご覧ください。

 保険医療機関・保険薬局の指定に関する申請・届出

 

Q2 保険医(保険薬剤師)が退職しました。どのような手続きが必要でしょうか。

A2 Q1の採用の手続きの場合と同様、「保険医療機関・保険薬局届出事項変更(異動)届」の提出が必要です。
 また、人事異動等により、保険医(保険薬剤師)が同じ開設者の保険医療機関(保険薬局)へ転勤となった場合においても、転勤元の保険医療機関では「退職の手続き」が必要となります。
 なお、保険医が退職することで、施設基準の人的要件を満たさなくなった場合は、施設基準の辞退届を提出していただく必要がありますのでご留意ください。

※退職の手続きについては、提出もれが数多く見受けられますので、保険医(保険薬剤師)が退職された場合は、速やかに提出をお願いいたします。

ごあいさつ

局長 伊奈川 秀和

 皆様、初めまして。7月2日付で中国四国厚生局長を拝命し、このたび着任しました。
 その前2年間は、厚生労働省から内閣府に出向していました。内閣府では、昨年成立した子供・子育て3法をはじめとする少子化対策や、この6月に成立した障害者差別解消法など厚生労働行政にも関係が深い分野を担当していました。
 久々に厚生労働行政の第一線に戻り、気持ちも新たに仕事に取り組みたいと思っています。前職では、青少年施策の一環として青年国際交流等も担当していましたが、常々グローバルとローカルの両方の視点の必要性を痛感していました。ローカルからグローバル、グローバルからローカルの連環の中で社会や経済は発展します。厚生局は地域に軸足を置きつつ、全国的(ナショナル)、更には世界的(グローバル)な視点も持ちながら地域に貢献していくことが重要と考えます。
 また、時間軸も重要です。人口減少社会に突入した現在、各地域の10年後、20年後、更にはその先を見据えた対応が求められます。時々刻々と物事が変化する現代社会ですが、それだけに経緯を踏まえつつ前進することの重要性も高いと思います。
 歴史に支えられたそれぞれの地域が元気になることが日本の元気につながるはずです。厚生局が担う業務は多様ですが、何れも社会を維持していく上で不可欠な分野です。そして、社会保障やその関連施策は、一人一人の国民に直結する行政分野です。我々行政は、常にそのことを意識しながら、職務を適正かつ適時的確に遂行する必要があります。
 以上、私の思いの一端を述べさせていただきましたが、今後とも皆様方の御理解と御支援を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。

あとがき

東郷湖の夕焼けの写真 毎日、暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
 先日、当局の職員より、「東郷池の夕焼け」の写真をもらいました。見ているだけで気持ちがゆったりするとともに夏らしさを感じました。東郷池は鳥取県東伯郡梨浜町にあり、景色がよいところですので、鳥取方面へ行かれた時には是非、ご覧になっていただきたいと思います。(H.O)

 

  鳥取県東郷湖の夕焼け

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