中国四国厚生局 > 中国四国厚生局について > せんだん通信-中国四国厚生局だより- > せんだん通信-中国四国厚生局だより-平成26年春(5月)号(平成26年5月9日発行)
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更新日:2014年5月9日
【目次】
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広島に赴任して2年目を迎えます。広島は瀬戸内海に面しているということで冬でも割合温暖な気候を想像していましたが、中国山地から小雪混じりの冷たい風が吹き付け、とても寒いことに面くらい、この冬は毎日、「寒い、寒い」を連発して、周囲の人たちを辟易させていました。
それでも、広島では3月25日に桜の開花宣言があってから、急速に春らしく暖かい日が続くようになってきました。学校も新学期が始まり、新しく社会人一年生となる方もいらっしゃいます。日本社会にとって4月は新しい年度の始まりであり、それが春の陽気とともに新たな気持ちで迎えられ、自然と日本社会の動きの節目が相まっているのは日本の特色でもあると思います。
そんな中にあって、いつもこの季節になると「花粉症」に悩まされています。その年によって花粉の飛散量は違うのですが、朝の天気予報で「今日は晴天ですが花粉が多い一日です。」と言われた途端に、くしゃみや鼻水が止まらず、目がかゆくなってきます。普段は医療機関にかかることは滅多に無いのですが、どうしても我慢しきれず、先日、医療機関を受診しました。
その際、領収書と明細書を貰いましたが、医療機関を受診して改めて、さすが「世界に冠たる日本の医療保険制度」と思いました。(「冠たる」とは、広辞苑によれば、最も優れた。最高と認められる。の意味。)
その理由は、「我が国の医療保険制度は国民皆保険制度ですべての国民が何らかの公的医療保険に加入していること」、「医療行為が先に行われ、費用は保険者から医療機関へ事後に支払われる現物給付制度であること」、「フリーアクセスといって自らの意志で自由に医療機関を選べるということ」です。したがって、自分が持っている保険証1枚で日本全国何処の保険医療機関でも自由に受診でき、公平・公正な医療を受けることができ、その費用も全国統一の公定価格であり、一部負担を支払うだけで、それ以上の費用負担の心配もいりません。そのことが現在では我々日本人にとっては当たり前になっていて、空気や水と同じようなものとして受け入れられています。
日本の公的医療保険制度は2000年に世界保健機関(WHO)から世界最高の評価を受け、経済協力開発機構(OECD)からもその充実ぶりは加盟国中でもトップレベルの評価を受けています。欧米先進国と比較しても遜色の無い制度です。
この日本の医療保険制度を運営面で支えるのが、被用者保険である健康保険組合や協会けんぽ等ですし、地域保険である国民健康保険と高齢者医療制度です。
また、保険医療機関にかかった場合の医療費の請求、支払いシステムである診療報酬制度が日本における医療保険制度の運営のもう一方の側面を支えています。
その診療報酬改定が2年に1度行われ、今年がその改定の年です。
保険医療機関が行った医療行為や調剤した薬剤料などを請求するための点数が、診療報酬点数表にきめ細かく定められていますが、診療報酬改定はその点数の改定や新たな項目の追加などが行われます。また、保険医療機関は人員や設備など一定の要件を満たさないと算定できない診療報酬があり、その基準を定めた「施設基準」と言われる届出が必要になりますが、この基準についても見直しが行われます。
日本はすでに超高齢社会に突入していて、医療費が2012年には39兆円を超え、毎年1兆円ずつ増えている状況の中、その財源をどのように公平に負担するかが重要な課題となっています。これを国民の皆さまに安定的かつ公平に負担していただくために、今回の消費税引き上げ分を医療など社会保障分野に充てることになりましたが、一方で限られた財源を効率的・効果的に使うためにも、この診療報酬制度を適正に運営していくことが大事になってきます。そのことが「世界に冠たる日本の医療保険制度」を守っていくことに繋がることだと思います。
せんだん通信をご覧の皆さま。初めまして、医療課の濱根と申します。
平成26年も早4ヶ月が経過し、年齢を重ねるにつれて、月日が経つのが早く感じられる今日この頃です。
今年は4月に診療報酬の改定が行われ、医療課でも慌ただしい日々が続いております。
診療報酬の改定は、中央社会保険医療協議会の答申を受けて、厚生労働大臣が2年ごとに行っているものです。皆さまが支払われる医療費の金額にも影響してきますので、この場をお借りして、診療報酬の改定の概要についてご紹介させていただきたいと思います。
そもそも診療報酬とは何でしょうか?
診療報酬とは、保険医療機関が患者に対して行った医療行為等(診察、検査、処置、リハビリ、手術等)の対価として患者や保険者(全国健康保険協会、健康保険組合等)から受け取ることのできる報酬のことです。保険医療機関が行う医療行為等は細かく点数化されており、保険医療機関は、実際に行った医療行為等に対する点数の合計の一部を、通常、患者から一部負担金として保険医療機関の窓口で受け取ります。そして、残りの点数を審査支払機関(社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会)へ請求し、審査支払機関では保険医療機関の請求内容について審査を行います。請求内容が適正であれば、患者が加入されている保険者から審査支払機関を通じて保険医療機関へ診療報酬が支払われることになります。(実際には、点数を円換算(1点は10円)します。)
なお、保険薬局での調剤等についても、調剤報酬として点数化されており、診療報酬と同時期に点数の改定が行われています。
今回の診療報酬改定は、診療(調剤)報酬の本体部分が0.73%増、薬価改定部分が0.58%減、材料価格改定部分が0.05%減となり、全体改定率としては0.1%増となりました。(改定率には、消費税率引上げに伴う保険医療機関等の課税仕入れに係るコスト増への対応分が含められています。)
改定のポイントとしては、急性期から亜急性期、回復期等まで、患者が状態に見合った病床でその状態にふさわしい医療を受けることができるよう、急性期医療を中心に人的・物的資源を集中投入し、入院期間を減らして早期の家庭復帰・社会復帰を実現するとともに、受け皿となる地域の病床や在宅医療・在宅介護を充実させていくこと等を重点課題に以下の4つの視点から改定が行われています。
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また、消費税8%への引き上げに伴う対応も行われています。
(初診料270点→282点、再診料69点→72点など)
なお、超少子高齢社会の医療ニーズに合わせた医療提供体制の再構築等は、直ちに完成するものではありません。平成26年度診療報酬改定以降も、引き続き、2025(平成37年)年に向けて、質の高い医療が提供される診療報酬体系の在り方の検討も含め、医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実等に取り組んでいく必要があるとされています。
平成26年度診療報酬改定に関する内容の詳細については、厚生労働省ホームページ(平成26年度診療報酬改定について)をご覧ください。
せんだん通信をご覧の皆さま、初めまして。中国四国厚生局健康福祉部医事課の藤田貴子です。私は、4月に再生医療等推進専門官として着任しました。再生医療とは何かわからない方も多いと思います。この機会に、皆さまに再生医療について少しでも興味を持っていただけたらと考えています。
再生とは、「失った組織を再び生み出すこと」です。例えば、トカゲのしっぽがきられてもまた生えてくることが挙げられます。新しいしっぽは、トカゲ自身が作ったもので、失ったしっぽの形だけでなく、その機能を補うことができます。しかし、人は腕や脚を再び自分の力で作り出すことはできません。そのため、人工関節や義手・義足によってその機能を補う医療が行われています。こういった医療技術は日々進歩していますが、人工物を使うことは、少なからず拒絶反応や感染の恐れがあります。そこで、拒絶反応の少ない失った組織を自分で作り出すことのできる再生医療に注目が集まっています。
人の体は、様々な役割を持った細胞でできています。これらの細胞は、一つの受精卵から増えて、別々の役割をもつようになったものです。つまり受精卵は様々な細胞になることのできる「多分化能」を持っています。現在、受精卵の他にも体の中には様々な細胞になることのできる細胞が存在していることがわかっています。さらに、ノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授の研究では、多分化能を持つ細胞を作り出すことに成功しています。これらの細胞を使って、体の一部分を再生させる治療の研究が広く行われています。
現在、研究室では体の中から多分化能を持つ細胞を取り出し、増やし、変化させることができます。この技術を使うことによって、組織を再生できる可能性があります。失った自分の体を再び作り出すことができれば、医療の選択の幅も広がり、治せなかった病気を治せるようになるかもしれません。 細胞を使った再生療法の研究は多く行われていますが、未だ明らかではないことが多いです。実際に医療として生体に使うためには細胞が安全かどうか、体に入れるときに危険はないか、設備が整っているのか等、ルールが必要です。 |
そのため、この度再生医療の安全性を確保するために法律ができました。この法律では再生医療を迅速に、安全に行うことのできるように、ルールを定めています。厚生労働大臣が、細胞の種類によって基準を定め、再生医療を行う施設がその基準に則って計画書を作成し、専門家からなる委員会で審査されます。専門的な審査を受け、施設は再生医療を行うことができます。このことによって、患者さんが安心して安全な再生医療を受けることができます。
まだ知らない方の多い新しい法律ではありますが、安全な再生医療が広まるように、医療に携わる人・施設だけでなく、患者さんにも理解していただけるよう努力していきます。
「大麻」やあへん系麻薬の原料となる「けし」は、大麻取締法、あへん法等により、栽培の免許等を受けた人以外の栽培が禁止されていますが、依然として乱用目的で不正に栽培する者が後を絶たない状況です。また、自生している「大麻」や「けし」については、厚生労働省や都道府県で、毎年その発見、除去を実施していますが、その根絶には至っておらず、採取した自生大麻を乱用した者が検挙される事例も発生しています。
このため、厚生労働省と都道府県では、関係機関の協賛を得て、不正栽培事犯の発見に努めるとともに、犯罪防止の観点から、自生している「大麻」や「けし」の発見、除去と「大麻」や「けし」に関する正しい知識の普及のための広報啓発を主な内容とする「不正大麻・けし撲滅運動」を全国的に展開します。
実施期間、内容等については以下のとおりです。
平成26年5月1日から同年6月30日までの間
主催厚生労働省、都道府県
協賛薬物乱用対策推進会議、警察庁、法務省、最高検察庁、財務省、文部科学省、海上保安庁
(1)中国四国厚生局管内(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)においては、麻薬取締官や各県職員等が巡回して、自生又は不正に栽培されている「大麻」・「けし」の発見に努め、これらを発見したとき、又は市民等から通報があったときは、速やかにこれを除去する等所要の措置を講じます。
(2)「大麻」・「けし」に関する正しい知識を普及するため、関係機関等にポスターを掲示するとともに、リーフレットを配布して広報啓発を行います。
(1)「大麻」について
「大麻」は、その茎から丈夫な繊維がとれるため、昔から繊維をとるための植物として栽培・利用されてきました。しかし、現在、日本では無許可の栽培や所持等は法律で禁止されています。そのために「大麻」の種子を不正な栽培の目的で所持していたり、提供したりすることも大麻取締法の処罰対象となります。また、すべての大麻種子の輸入は厳重に規制されています。
(2)「けし」について
「けし」の仲間(けし属植物)は、春から夏にかけて色鮮やかで美しい大きな花を咲かせるものが多く、ガーデニングや切り花用の花として人気があります。しかし、「けし」の仲間には、法律で栽培が禁止されているものがあります。これらは外観上の特徴から、園芸用の「けし」と区別できます。
詳しくは、厚生労働省ホームページ内「大麻・けしの見分け方」をご覧ください。
自生又は不正に栽培されている「大麻」・「けし」を発見した時は、
中国四国厚生局麻薬取締部(電話082-227-9011)
又は各県薬務主管課、保健所、警察署に通報をお願いします。
5月に入り、季節は春から初夏に変わりつつあります。週末、久しぶりに近所を散歩すると、公園には新緑の木々が広がり、子供たちが元気に遊んでいる姿を見ていると気持ちが和らぎ、気分転換できました。
新年度も1ヶ月が過ぎ、疲れがたまっている方もおられると思います。普段と違ったことをしてみると、良い気分転換になるのではないでしょうか。
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